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働き方改革に本腰/草野作工(株)草野量文専務に聞く

草野量文専務
建設業存続へ働く環境づくりが不可欠と話す草野専務
 道内各発注機関は週休2日制モデル工事の導入など、建設業における働き方改革に力を入れ始めた。多くの建設企業が改革の具体策に頭を悩ませる中、草野作工(株)(江別、草野貴友社長)は本年度から4現場で独自に完全週休2日制に取り組んでいる。現場での取組内容や今後の課題等について草野量文専務に聞いた。

―同業他社に先行して現場の週休2日制に取り組んでいるが、きっかけは

 その基となったのは「自分の子どもを建設業界に入らせたくない」との社員の言葉。建設業を存続させるためには、やはり週休2日制への環境の整備と、給与の確保が大事。
 高校生に話を聞いても昔と違って、何か物を買いたいから働くということではなく、それよりも自分の時間が作れる会社を選択する傾向にある。そのことからも「休みを増やさなければならない」と思った。

利益減っても了承 生き残る環境整備

―週休2日制の実施状況について

 今、札幌開建の4現場は完全週休2日制にしている。札幌道路の2現場と、江別河川、岩見沢河川各1現場。ほかにも滝川道路の2現場は、近接現場との連携を考慮しながら、社員に関しては交代で休ませる週休2日制を指導している。
 現場にはまずはできるところまでやってみよう、利益が減っても構わないと伝えている。高いと思われる下請の見積書をもらっても認め、現場代理人には「利益が減っても現場の責任ではない、それに対しての評価を下げることはしない」と言っている。
 まず、週休2日はどこかの会社がやってみなければ進まない。「草野がやれるのならできないことはない」とみんな追随するのではないか。今、働き方改革が話題になり、一部で週休2日制モデル工事を導入する動きもあり、すごくうれしく思う。建設業が生き残れる環境が少しずつ整備されてきていると実感している。

発注機関の協力と下請の理解不可欠

―週休2日制を進めるに当たり課題は

 例えば、役所、本社から求められる資料作りがある。どういう訳か「来週の月曜日の会議までに資料を作って」と週末に言われることが多い。当然、土曜日も現場が稼働していると思っているのか、その話が金曜日に来ると、みんなで揃って休もうとしているのに交代で休まざるを得なくなる。少なくとも1週間前には連絡してもらわなければ週末に休む体制は確立できない。
 2次下請の季節労働者の日給も守らなければならない。当社は協力業者に「日給の方に関しても土曜日の分を加味した形で見積を作るように」と提案している。日給の方が月に4日間も休みが増えたら給料が激減する。それに対しては、当社が全額とは言わないまでも、折半してでも賃金は払うようにしている。
 

―完全週休2日制に移行することの利点は

 特に若手の社員たちは「休日のスケジュールが組めるようになった」と言っている。工期が終わるまでずっと土日が休みなので、旅行にも行けるし、自分の趣味の時間も作れるようになった。現場代理人らの中堅も家族と過ごす時間が増えたと話している。
 

工事の平準化必要 ノー残業デイ推奨

―発注機関も週休2日制モデル工事を始めようとしている。これから取り組む企業へのアドバイスなどは

 正直、借金を抱えている会社は難しいと思う。利益が減ってもいいと覚悟しなければ進められない。今のi―Conと同じ。i―Conの最先端技術を導入しようと思っても資本のない会社はできない。
 よくi―Conというと、機械化施工ばかりに目が行くが、実は掲げているものはICT技術の活用、規格の標準化、施工時期の平準化の3つがある。この平準化がまさに週休2日制に当てはまる。
 北海道は3~5月の期間は仕事をしていない。この時期に仕事ができるようになったら工期に余裕がもてる。週休2日制を進めるのは何も難しくない。
 逆に言うと年度を決め付けた工事発注があるからやりづらい。言うのは簡単だが年度の縛りを無くしてもらって施工の平準化ができたらもっとやりやすくなる。そして適切な工期の中で経費をきちんとみてもらえれば身銭を切ることなく進めることができる。
 現状で週休2日制が難しい会社は、ノー残業デイの設定から始めるといい。全社で毎週何曜日と決めるのではなく、現場の特性に合わせた設定にするといいと思う。当社は、何年も前から2パターン用意し、江別近郊の現場は水曜日、地方は月曜日をノー残業デイにしている。なぜなら休み明けに地方の現場に行くときに早くから家を出なければならないから。だから月曜日は早くからの稼働はやめて、8時半くらいからにし、終わるのも5時半くらいに設定して残業しない。下請にも周知している。
 

工期を目一杯使う評価観点見直しを

―発注者に求めることは

 工期を週休2日でカウントしているのに最初の準備工事や最後の片付けに対しては工期と見ていない傾向がある。こうした点もしっかり週休2日でカウントしてもらわないと結局どこかにしわ寄せが発生する。あとは経費もしっかりみてもらいたい。
 今はみんなが工事評価点を重視している時代。その評価項目の1つに、早く工事が終われば評価するような傾向がある。これからは工期を目一杯使ったら評価するように変えてほしい。マックスに工期を使い、なおかつ週休2日でやったということを最大限に評価してほしい。

協議写真
現場では元請、協力会社による休日協議を行っている
(連載・特集 2017/10/31付)