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建設業の働き方改革期待/釧路港国際物流ターミナル供用へ/新任開建部長リレーインタビュー②<釧路>伊藤 晃 氏

2018/10/04付 連載・特集
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伊藤 晃 氏
いとう・あきら
 昭和59年北大工学部卒。平成26年開発局港湾空港部港湾建設課長、29年一般財団法人港湾空港総合技術センター研究主幹を経て、ことし7月現職。
 昭和36年7月26日生まれ、57歳。滝川市出身。

―管内の印象について

 釧路管内は初めての勤務だが、わが国の食を支える重要な食糧基地と再認識した。また、阿寒湖、釧路湿原等に代表されるような観光資源も多い。近年は、日本全国が暑さに見舞われる中、夏の涼しさは貴重な資源だと実感している。当地域が有する食、観光資源、冷涼な気候等に当地域の可能性を感じている。

―今後の抱負は

 そういった中で、第8期北海道総合開発計画の戦略的産業とされている「食」「観光」は、まさに当地域のこと。食糧基地を支える農業基盤、水産基盤整備を進めたい。また、それを生かすためには、道路、港湾の交通ネットワークの構築も重要であり、それもしっかりと進めたい。
 さらに管内は暴風雪、大雨、高潮、地震などの災害と隣り合わせた地域であり、また、マグニチュード9クラスの巨大地震が最大40%の確率で発生するという評価も発表されたところ。防災・減災対策に取り組むとともに、災害発生時は地元自治体等との連携を密にして、早急な対応に心がけたい。

―本年度の主要事業

 治水事業については、洪水などの災害対策に向けて、釧路川において、弟子屈地区の河道整備、標茶地区堤防天端保護により治水安全度の向上を図っていく。また、ことしは北海道と命名されて150年の節目であり、川からはじまる地域づくり、観光に貢献する「かわたび北海道」を推進する。
 道路事業については、ミッシングリンクの解消に向けて道横断道阿寒IC~釧路西ICの整備促進を図るなど、高速交通ネットワークの形成を重点的に進め、30年度は、釧路外環状道路釧路東IC~釧路別保ICおよび釧路中標津道路上別保道路の開通、また、31年度は根室道路の開通を目指して事業を推進する。
 道横断道尾幌~糸魚沢間の計画段階評価のための調査を鋭意進める。さらに、安全で安心な道路交通を確保するため、防災・震災対策、道路施設の老朽化対策、交通安全対策、無電柱化などを推進するとともに、効率的、効果的な道路除雪などの維持管理を実施していく。
 港湾整備事業については、国際バルク戦略港湾に選定された釧路港において大型船舶による穀物の大量一括輸送を可能とする国際物流ターミナルの30年度供用を目指す。
 また、根室港において農水産物の輸出促進を図るための屋根付き岸壁のほか、十勝港、霧多布港において、利用船舶の安全確保を図るための整備も引き続き進めていく。
 空港整備事業については、釧路空港において滑走路、誘導路などの老朽化対策を計画的に進めていく。
 都市水環境整備事業については、久著呂川土砂流入対策、幌呂地区湿原再生、ヌマオロ地区旧川復元などを進めていく。
 農業農村整備事業については、別海西部地区、別海北部地区および根室地区において、用水路および排水路の整備を推進していく。また、国営総合農地防災事業として弟子屈町の美留和地区においても整備を進めていく。国営緊急農地再編整備事業については、新規事業で阿寒地区に着手する。
 水産基盤整備事業については、厚岸漁港、落石漁港、大津漁港、歯舞漁港および羅臼漁港の5つの漁港において、国産水産物の衛生管理や安定供給のための基盤強化対策のほか、災害に強い漁業地域づくりのための漁港施設の防災・減災対策などの事業を推進していく。

―建設業界へのメッセージ

 建設業は、特に北海道内においては、地域の雇用を守る基幹産業であり、また、災害が発生した際に、早期復旧に尽力いただける重要な役割を担っていると認識している。
 働き方改革が叫ばれる中で、週休2日制の導入やICTの活用による効率性の向上等によって、働きがいのある魅力ある職場になり、建設業の健全な発展、地位向上につながれば幸いだ。

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