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円滑な事業執行へ環境整備/若手技術者確保・育成で連携も/新任開建部長リレーインタビュー ①札幌 鈴木 亘氏

2019/06/17付 連載・特集
鈴木 亘 氏画像

 すずき・わたる

 1988年東大院修。2016年網走開建部長、18年国交省北海道局地政課長を経て、ことし4月1日付で現職。
 1964年1月26日生まれ、55歳。室蘭市出身。
 2018年度国の第2次補正予算と臨時・特別の措置により、19年度の実執行ベース予算は、前年度と比較すると、大幅に増加している。本道に不可欠な社会資本整備を進め、第8期北海道総合開発計画に掲げた目標達成には、円滑な事業執行が至上命題となっている。一方で、建設業においては、週休2日をはじめとした働き方改革の取組が本格化。開発局のことし4月1日付の人事異動では、札幌、函館、小樽、旭川、帯広、網走、稚内の7開建で部長が交代した。新任の部長に今後の抱負や、建設業界に対する期待などを聞いた。リレー形式で7回連載する。

―管内の印象と新任の抱負について

 第8期北海道総合開発計画は閣議決定されて4年目を迎える。所管する各事業を北海道や札幌市など自治体と連携しながら取り組んでいきたい。近年は自然災害による被害も発生しており、「防災・減災、国土強靭化のための3ヵ年緊急対策」に基づいた対策を推進していく。

―本年度の主要事業について

 道路事業では、高規格幹線道路と一体となって、道央都市圏と他圏域とのアクセス強化などを図るため、19年度に開通予定の「泉郷道路」をはじめとする地域高規格道路「道央圏連絡道路」や「230号定山渓拡幅」、「275号江別北道路」などの整備を推進する。
 新千歳空港では、アジアを中心とする国際線旅客数の急激な増加に対応するため、18年12月20日に暫定供用した国際線エプロン拡張に引き続き、南側誘導路新設等の事業を進め、訪日外国人旅行者受入機能の強化を図る。
 道内唯一の国営公園となる滝野すずらん公園では、外国人観光客も快適・円滑に公園を楽しむための受入環境を整えていく。
 治水事業は、安心・安全に暮らせる地域の実現のため、石狩川下流において河道掘削、堤防整備等の根幹的な河川整備を推進。特に、洪水常襲地帯の千歳川地域の堤防や遊水地群の整備のほか、石狩川下流や千歳川地域にも大きな治水効果が期待される北村遊水地の整備を進めていく。
 大規模氾濫に備えた「水防災意識社会」の再構築では、関係機関と連携してタイムラインの作成などのソフト対策と減災のための危機管理ハード対策である天端保護工などを推進する。
 農業農村整備事業では、国内の食料共有基地としての役割を担っていくため、ほ場の排水改良や大区画化、担い手への農地集積による生産性向上を目的とした国営農地再編整備事業等で、妹背牛地区ほか4地区の整備を継続。農業水利施設の計画的な更新・整備により用水機能を確保するための国営かんがい排水事業等は、北海地区ほか6地区の事業継続と新たに「お茶の水地区」に着手する。

―建設業界へのメッセージ

 担い手対策は、喫緊の課題だ。それには魅力ある建設業でなければならない。発注者としても、若手技術者の確保・育成の取組を業界とともに進めていきたい。
 また、本年度は当開建も当初比で30.7%増の大型予算となった。円滑に執行していくため、発注ロットの拡大や若手技術者が参加しやすい入札方式の積極的な導入、元請実績の緩和などを実施している。

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