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将来計画の整理・発信を/建設業は先端技術産業へ/新任開建部長リレーインタビュー ③小樽 渡邊 政義氏

2019/06/19付 連載・特集
渡邊 政義氏画像

わたなべ・まさよし

 1989年北大院修。2015年東北地整秋田河川国道事務所長、17年開発局都市住宅課長、18年網走開建部長、ことし4月現職。
 1964年10月2日生まれ、54歳。留萌市出身。

―新任の抱負・管内の印象について

 開発局は「食と観光の生産空間の維持発展」を総合開発計画の柱に掲げ、管内では「世界の後志」を目指し事業を展開している。
 管内は、全道的にも社会基盤投資の中心軸にある地域だと認識している。開発局事業に加え北海道新幹線、観光資源の多いニセコ・倶知安エリアを中心とした民間開発なども活発だ。
 食と観光における地域の魅力を理解し、この優位性を社会基盤整備でどう高めていくかを発信しながら、事業を推進していきたい。
 後志地域は、札幌圏はもとより、新千歳空港・函館・胆振方面とのアクセス強化が重要であり、広域観光推進のための課題でもある。こうした意味で、倶知安余市道路や北海道新幹線など高速交通網整備に対する大きな期待を感じる。
 アクセス時間の短縮は、観光客の増加に加え、余裕のある滞在が、様々な地域の魅力を味わうことにもつながるはずだ。
 管内20市町村を回り、広さ・奥行きとともに地域の多様性を実感した。鰊漁の歴史文化など地域資源も豊富で、全国的にも希少価値のある地域と感じる。
 「食」では、日本海の幸・羊蹄山麓の幸、ワイン・ウイスキーなど一揃えの地酒があり、国内外からの観光客を十分にもてなす力がある。管内のおいしいディナーとすてきな施設での宿泊で、食と観光が完結する。ニセコエリアと他地域との連携を深め、管内全体で利益を共有していけるように取り組みたい。

―本年度重点事業について

 河川事業は、引き続き尻別川豊国地区において河道掘削を行うほか、名駒・三和地区で堤防裏法尻を補強し、洪水被害の軽減を図る。
 道路事業では、倶知安余市道路の整備を重点的に推進。防災・減災対策では、土砂災害等の危険性の高い個所で、道路法面対策等を施し、災害発生時における交通機能の確保等を図る。
 また、支笏洞爺ニセコルートにおける「秀逸な道」の試行に当たっては、道路景観が観光目的となるよう重点的に保全を進める。
 港湾・漁港事業では、石狩湾新港の防波堤整備、小樽港のクルーズ船の受入環境の改善等を実施する。
 国営緊急農地再編整備事業ニセコ地区においては、引き続き担い手への農地集約や耕作放棄地の解消により、優良農地の確保、生産性向上に努めていく。

―建設業の喫緊の課題である働き方改革や担い手対策について

 事業の長期展開、将来像をどのように示せるか。例えば、倶知安余市道路における倶知安町以西の延伸について。地域の関係者と検討を進め、将来計画について整理・発信していくことが、地元建設業の経営見通しにもつながると考える。
 また、小樽開建は、倶知安余市道路の施工を対象に道内で唯一、国土交通省のi―Conのモデル事務所に指定された。これは、省力化や品質向上の効果に加えて、建設業が、泥まみれの作業から、今や先端技術産業に生まれ変わりつつあることを子どもたちや親世代にPRできる機会としてとらえ、担い手対策にも結び付けたいと考えている。

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