地域の戦略的発展に交通基盤を／建設業と率直に意見交換／新任開建部長リレーインタビュー ＜釧路＞ 桑島 隆一 氏

―管内の印象について

　地域生産の生乳は、農畜産物とともに釧路港から専用の船で関東方面に供給している。漁業も我が国有数の水産基地があり、酪農と合わせてトップブランドの品質と規模で、本当に釧根地域は我が国の食を支える重要な食糧供給基地だと実感している。
　さらに、北方領土を除いても東京都全体の４倍以上の面積を有する釧根管内には阿寒摩周、釧路湿原、風蓮湖等のダイナミックなここだけにしかない貴重な空間があり、その世界トップクラスの資源は「観光立国ショーケース」にも選ばれ、ますますの発展が強く期待されている。

―今後の抱負は

　我が国を代表する食や観光資源の可能性を有する地域を戦略的に発展させるためにも、広大な釧根地域の時間距離を縮め、ヒトとモノの往来を活発化させ、また地域の生産・物流コストを削減し得る交通基盤の整備を推進していきたい。
　また、釧路湿原の自然再生、環境と共生する農業基盤、さらには衛生管理された水産基盤の整備等にも努力していく。

―本年度の主要事業

　釧路開発建設部の事業費は、当初予算対前年比で１０.８％増の３３０億４００万円となっている。
　治水については、洪水などの災害対策に向けて、釧路川において、弟子屈地区の河道整備、標茶地区堤防天端保護により治水安全度の向上を図っていく。
　道路は、道横断道阿寒ＩＣ～釧路西ＩＣの整備など、高速交通ネットワークの形成に向けて重点的に整備する。釧路東ＩＣ～釧路別保ＩＣ、釧路中標津道路の上別保道路は３０年度の開通、根室道路は３１年度の開通を目指し事業を推進していく。
　港湾整備については、国際バルク戦略港湾に選定された釧路港において、大型船舶による穀物の大量一括輸送を可能とする国際物流ターミナルを整備。根室港、霧多布港において、利用船舶の安全確保を図るための整備を引き続き進めていく。
　空港整備は、釧路空港において滑走路、誘導路などの老朽化対策を推進。都市水環境整備は、久著呂川土砂流入対策、幌呂地区湿原再生などを展開していく。
　農業農村整備では、別海西部地区、別海北部地区および根室地区において、用水路および排水路の整備を。国営総合農地防災事業として弟子屈町の美留和地区においても整備を進める。
　水産基盤整備については、厚岸、歯舞、落石、羅臼の４つの漁港において、国産水産物の衛生管理や安定供給のための基盤強化対策のほか、災害に強い漁業地域づくりのための漁港施設の防災・減災対策などを施工する。

―建設業界へのメッセージ

　建設業の皆さんは、地域のインフラ整備はもとより、地域の雇用を守り、そして地域活性化のイベントにも尽力される頼もしいメンバー。昨今は、大雨、地震、暴風雪などの自然災害への迅速な対応も強く求められている中、今後とも率直な意見交換や協力をお願いしたい。