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国土強靱化加速化対策 当初予算化を/必要額は別枠で 道建協/全建と国交省 地域懇談会

2022/10/31付 DOTSU-NET NEWS
 全国建設業協会(奥村太加典会長)と国土交通省の2022年度地域懇談会が28日、ホテル札幌ガーデンパレスで開かれた。関係者約40人が参加。「国土強靱化を推進し、社会的使命を果たし続けるサステナブルな地域建設業であるために」をテーマに意見を交わした。北海道建設業協会(岩田圭剛会長)は、激甚化・頻発化する自然災害など本道が抱える喫緊の課題を示した上で、防災・減災、国土強靱化に向けた加速化対策を当初予算で確保しつつ、必要額を別枠とするよう訴えた。

 懇談会には道建協と傘下の各地方建協会長、全建幹部、国交省・開発局幹部らが参加した。
 あいさつに立った道建協の岩田会長は、1年5ヵ月後に迫る建設業における時間外労働の罰則付き上限規制適用への対応に苦慮している状況に言及。「受注産業であるとともに、積雪寒冷地という特有の事情がある。働き方改革の推進には発注者の理解が必要」と訴えた。
 また建設資機材や燃料等価格の高騰に対応したスライド条項などの適切な運用のほか、民間発注者に対しても適正な価格、適切な工期の設定について指導するよう求めた。海溝型地震などの発生が懸念されるなど激甚化・頻発化する自然災害に対応するため「さらなる防災・減災、国土強靱化が不可欠。加速化対策の安定的・継続的な実施を」などと要請した。
 国交省の笹川敬大臣官房審議官(不動産・建設経済)は、来年度予算概算要求や本年度補正予算など建設投資額について「十分な予算を確保できるよう努めている」とした。また処遇改善のための賃金の引き上げ、働きやすい労働環境の整備、建設資材の価格高騰への対応について最新の動向などを示した。
 見坂茂範大臣官房技術調査課長は、働き方改革や生産性向上、資材等物価高騰への対応の3点に言及。その上で、懇談会での忌憚のない意見を期待した。
 開発局の石塚宗司局長は「建設業は地域の守り手であり、欠くことのできないパートナー」と述べ、山積する課題に全局を挙げて各種施策に取り組んでいくことを強調した。
 全建の奥村会長は、全国9地区による懇談会がファイナルとなることに触れ、魅力ある地域建設業を目指すに当たって諸課題に対する活発な意見を求めた。
 議題は①公共工事の円滑施工と予算確保(生産性の向上を含む)②働き方改革と処遇改善、CCUS③「地域の守り手」としての地域建設業の信頼性の向上等―の3つ。
 道建協は①について、激甚化・頻発化する災害に対して防災・減災、国土強靱化は喫緊の課題であるとともに、本道では海溝型巨大地震の発生が懸念されていることから早急な対策が必要として、加速化対策を当初予算で確保しつつ必要額を別枠とするよう訴えた。
 また迅速な災害対応や除雪など、地域建設業は地域の安全・安心の守り手であるものの、事業量の偏りからくる地域間格差が拡大していることを危惧。地域ごとの安定的・持続的な事業量の確保とともに、補助・交付金を含む地方への予算の傾斜配分を求めた。
 ②について、時間外労働の罰則付き上限規制適用への対応として、週休2日制のさらなる導入やモデル工事における補正係数のさらなる引き上げに加え、中央建設業審議会勧告「工期に関する基準」に準ずるよう市町村や民間発注者への周知・働きかけを要請した。
 ③について、高校などで土木を志望する生徒が少なく、担い手確保がままならない状態を指摘。地元企業で長く勤める人材の育成には地元の高校の存在とその拡充が必要としながら、IT化やDXの進展によって進化している建設業をPRする出前講座など、教育機関と連携を図ることの重要性を説いた。

 国交省は建設投資額の確保として、特に防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策については前倒しで事業を推進する方向で予算確保に向けて努力していくとしたほか、ポスト加速化対策についても検討していることを示した。
 週休2日制など働き方改革については、地方公共団体においてもしっかり取り組むよう指導していく。民間の発注者については、省内の協議会を立ち上げ実態調査に取り組むとした。
 また、中長期的な人材確保といった観点で、工業高校とりわけ土木系の生徒が減少する中、建設業として協力を惜しまないとした道建協に対して、国交省はこれまでの厚生労働省に加え、文部科学省とも連携していく必要性を示唆した。
 このほか道建協は、建設業法第19条各項や中建審勧告などを踏まえ、長時間労働規制違反の事案が発生した場合には受発注者間の契約が適正か否かを確認するため、発注者に対して報告や資料の提出を求めること、これらの周知によって働き方改革推進への意識醸成を図ることなどを強く求めた。

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