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関係者一丸で取組加速化を/時間外労働規制見据え 標準規格化、独自VfMなど/道内建設現場のプレキャスト施工
2023/06/23付 DOTSU-NET NEWS
道内建設現場でプレキャスト製品の活用が進んでいる。開発局では、本年度から特殊車両によって運搬可能な規格の中型以下のコンクリート構造物について、原則プレキャスト化する取り扱いとしたほか、活用によるメリットを最大限引き出す観点から、各開建に対しても設計段階からの積極的な検討を要請している。国の取組を参考に道建設部、鉄道・運輸機構、東日本高速道路(株)北海道支社などでもプレキャスト化を推進する考えだ。こうした中、2024年4月の時間外労働の罰則付き上限規制施行までは1年を切っており、業界からは「生産性向上に資する取組をさらに加速させていくことが必要」との声も。今後は、サプライチェーンマネジメントの導入など関係者間の垣根を越えた連携の仕組みの構築に加え、製品の標準規格化、積雪寒冷を踏まえた本道独自のVfMの確立に向けた検討なども求められそうだ。プレキャスト施工は、建設現場の省人化や工期短縮、安全性向上、働き方改革の実現などに寄与するもの。特に本道は、寒冷地ならではの過酷な気象条件の中で生コン打設を行うよりも、工場内で製造するプレキャスト製品の品質が安定しており、施工業者は「気象条件に大きく左右されず工期が読める」「防寒作業や養生管理が少ないため、生産性の向上が図られる」と評価する。
開発局では22年度の成果を踏まえ、本年度から特殊車両によって運搬可能な規格の中型以下のコンクリート構造物については原則プレキャスト化。各開建に対しても設計段階からの積極的な検討を継続して要請しており、22年度完了業務でもプレキャストによる設計成果品が多く納められた。現場打ちと比較しコストなども課題となるが、担当者は「使わないと安くならないので、積極的に使っていくことが重要。プレキャストで設計成果を納品しても全く問題はない」と話す。
取組の輪は着実に広がりを見せ、道建設部は、建管発注工事でコンクリート構造物のプレキャスト化を推進することとし、7月1日以降に入札する設計業務から適用する取り扱いを定めた。鉄道・運輸機構では、明かり工事が本格化する北海道新幹線でPCU桁等のプレキャストセグメント桁を標準化。東日本高速道路道支社は、橋梁リニューアル工事で、プレキャスト床版、プレキャスト壁高欄の採用を標準化している。
開発局では中型以下以外の構造物に関し、個々の現場状況に応じた比較検討を行い総合的に判断していくこととしているが、北海道プレキャスト製品協議会(HPSK)は今後の展望として製品の標準規格化が重要とする。
小森直樹会長は「規格が大きくなると型枠の回転率等の問題でコストは現場打ちと比較して高くなる傾向にある。コスト幅を縮めるためには規格の標準化を発注者と一緒に進める必要がある」と説明。国土交通省が転換を進めているコスト以外の価値を評価するVfMに関しては「できれば寒冷地特有の独自の仕組みが必要であり、それを確立、実行していくことも大切」(前同)と提唱する。
HPSKで技術委員長を務めていた金子義典氏は、積雪寒冷地ならではのメリットがあるとする一方で、現状の課題として製造者側にも施工現場と同じように平準化が必要と指摘。「平準化することで安定した雇用が可能となり、原価も安定し製品価格を安定させることができる」ためだ。一部から聞かれる「職人の仕事がなくなってしまうのでは」との懸念に対しては「現状、大型で複雑な構造物を工場製作する場合などに依頼する鉄筋工は現場で作業している方なので、現場で作業するか工場で作業するかの違いとなり、全くなくなってしまうということはない」と指摘する。
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