労働者の処遇改善 賃金原資確保を明記／生産性向上の措置等も盛る／政府 建設業法など一部改正

　政府は８日、建設業法および公共工事の入札・契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案を閣議決定した。建設業の担い手を確保するため、労働者の処遇改善に向けた賃金原資の確保と下請事業者までの行き渡り、資材価格転嫁の円滑化による労務費へのしわ寄せ防止などに資する取組を明記。働き方改革や現場の生産性向上を図るための措置なども盛り込んでいる。
　建設業は、他産業より賃金が低く、就労時間が長いことから担い手の確保が困難な状況。地域の守り手としてその役割を果たし続けていくためには、時間外労働規制等に対応しつつ、処遇改善、働き方改革、生産性向上の取組を進めていくことが重要となっている。
　今回の法改正は、こうした状況に対応するもので（１）労働者の処遇改善（２）資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止（３）働き方改革と生産性向上―の３本を柱として掲げた。
　（１）では、建設業者に対して労働者の処遇確保を努力義務化するとともに、国は当該処遇確保に係る取組状況を調査・公表することを記載。労務費等の確保と行き渡りのため、中央建設業審議会が「労務費の基準」を作成・勧告することとし、受注者および注文者の双方に対して著しく低い労務費等による見積書の作成や変更依頼を禁止する。併せて、受注者における不当に低い請負代金による契約締結を禁止する。
　（２）をみると、資材高騰など、請負代金や工期に影響を及ぼす事象がある場合、請負契約の締結までに受注者から注文者に通知するよう義務化。また、資材価格変動時における請負代金等の「変更方法」を契約書の記載事項として明確化する。
　（３）では、長時間労働を抑制するため、受注者における著しく短い工期による契約締結を禁止。「ＩＣＴ活用等を要件に、現場技術者に係る専任規制や、公共工事における施工体制台帳提出義務を合理化」「ＩＣＴ活用による現場管理の指針を国が作成し、特定建設業者や公共工事受注者に対し、効率的な現場管理を努力義務化」することも盛り込んだ。