トップページ > 連載・特集一覧 > 連載・特集詳細

未来を担う高規格幹線道路/北見市新庁舎 待望の着工/Local Topics 2017<10> オホーツク

2017/12/21付 連載・特集
Local Topics 2017<10> 画像
オホーツクの未来を支える高規格道路がことし、2区間で待望の開通。北見市長年の懸案事項「市庁舎問題」が解決へ

待望の開通

 ことし、旭川紋別道丸瀬布IC~遠軽瀬戸瀬IC間、十勝オホーツク道陸別小利別IC~訓子府IC間の2区間が供用された。2区間の開通で主要都市への移動時間が短縮。旭川紋別道では、旭川市~紋別市間の移動時間が4分、十勝オホーツク道では、北見市~帯広市間が5分の短縮を実現した。
 救急医療では、1分・1秒の違いが傷病者の生存率に大きな影響を及ぼす。北見赤十字病院や遠軽厚生病院といった管内の高次医療施設には、十勝管内の陸別町をはじめ、圏域を越えた緊急搬送を受け入れる機会が多い。救急搬送を担う消防組合員は「迅速かつ安全に搬送するルートの確保は、地域の救急医療を支えるために不可欠」と、さらなる整備促進を求める。
 物流を支えるトラック業界では、働き方改革に資する大きな効果がみられる。
ドライバー1人当たりの労務規定時間は13時間。北見市から国内外への輸出拠点の苫小牧港まで一般道を利用した場合、労務規程時間内で日帰り往復ができず、人件費など輸送コストがかさんでいた。ある会社は、十勝オホーツク道の開通により、13時間未満での往復が可能となり、運送コストを年間160万円抑制することが可能となったという。
 北見地区トラック協会は「全区間が供用されることでさらに輸送コストが削減できる。従業員の給料アップなど、職場環境の改善にもつながる」と期待する。

遅れる整備

 一方で、オホーツク管内における高規格幹線道路の整備進捗率は、29年度末時点で50%に達する見通し。しかし、本道を除く全国の整備進捗率は86%となっており、北海道全体では62%と、管内の整備が遅れている状況は明白だ。
 北海道の地域とみちをつなぐネットワーク連携会議の田中夕貴代表は、管内の整備状況の遅れに「不安を感じる地域住民は多い」と明かす。わが国の食料供給基地としての役割や、自然を生かした観光資源の豊富さなど、オホーツクがもつポテンシャルを最大限に生かすためにも、「高規格幹線道路整備が滞ることがあってはならない」と訴える。

長年の課題解消へ

 今月、北見市にとって30年来の懸案事項となっていた市役所新庁舎の建設がスタートした。
 昭和30年に完成し、老朽化が著しかった旧庁舎の建替をめぐる議論は、昭和55年ころからすでに始まっていた。「現地建替か移転新築か」「移転するならばどこがふさわしいか」。多くの案が浮上し、議論が二転三転する中、平成23年に旧庁舎を解体。役場機能は市内11ヵ所の分庁舎・仮庁舎に分散された。「何か手続きをしようにも、本当に不便だ」と、不満の声を挙げる市民も多かった。
 JR北見駅周辺では、空き店舗の増加や東急百貨店の撤退など、中心市街地が空洞化。人口もピークだった7年度の13万1,500人から、27年度で12万1,200と約1万人減少。65歳以上の人口構成比も2年度の11.5%から30.2%と高齢化率も進展するなど、市街地活性化に向けて大きな課題を抱えていた。
 26年度、中心市街を起点ににぎわいと活気を取り戻すことをコンセプトにした、北見市都市再生整備事業がスタート。旧東急百貨店のまちきた大通ビル横に新庁舎を建設し、JR北見駅・商業施設・役場機能を兼ね備えた、複合交通・地域交流の拠点とする構想で、長年の議論に終止符を打った。
 市民からは、「まちきた大通ビルと連結し、中心部に人が集まるきっかけになれば」など、歓迎する声も多い。

先細りする事業量

 一方で、市の公共事業という観点でみると、新庁舎建設の発注を終え、「大型工事がひと段落した。時代の流れもあり、先細りは否めない」(市担当者)とする見方が多数を占める。
 18年の合併以降、子ども支援センターや中央図書館、市民温水プール、武道館など、合併特例債をはじめとする財政支援措置を活用した事業が矢継ぎ早に行われてきた。今後、建築物の維持管理費や償還金など、多額の費用が必要になると見込まれる。
 地元建設業者は「数年先に目を向けたとき、事業量がしっかり確保されるのか」と不安視する声も挙がる。市は「災害発生時など、建設業界が地域を守る要と認識している」としており、地域の守り手を維持する適切な事業量の確保が求められる。

その他の連載・特集 一覧

業界一丸で担い手の育成を/風力でまちづくり ― 稚内市/Local Topics 2017<9> 稚内

2017-12-20付 連載・特集

 年間平均風速が7メートルを超える稚内市では、しけや冬期の視程障害など、その強風が市民生活に大きな影響を与えている。一方、その風を有効活用しようと市内では現在、官民合わせて74基の風車が稼働。市内の年間電力消費量の85%に相当する7万6千キ...
Local Topics 2017<9> 画像

増毛港の屋根付岸壁整備へ/BSC工法を道内初実施/Local Topics 2017<8> 留萌

2017-12-19付 連載・特集

全道で6港認定 国土交通省は本年度、港湾における農水産物の輸出を促進するための行動計画の認定制度を創設した。道内では本年度、増毛港を含む道内6港湾の管理者が連名で行動計画を申請。全国で初の認定となった。 計画では、石狩湾新港と苫小牧港を輸出...
Local Topics 2017<8> 画像

水防災対策 着実な推進を/旭川建協全会員がBCP策定/Local Topics 2017<7> 上川

2017-12-18付 連載・特集

市街地が浸水被害 昨夏に発生した台風等によって、南富良野町では幾寅地区を流れる空知川の堤防2ヵ所が決壊した。住宅や公共施設、道の駅「南ふらの」が浸水するなど市街地を中心に甚大な被害を受けた。町内を通る国道38号太平橋で洗掘が発生し、一時通行...
Local Topics 2017<7> 画像

マチナカに大型クルーズ船を/最大限の効果発揮へ整備が始動/Local Topics 2017<6> 渡島

2017-12-15付 連載・特集

道内1位の寄港数 函館港におけるクルーズ船の寄港数は年々増加傾向にあり、ことしは28隻が入港。寄港数は2年連続で道内1位を記録した。 函館市はポートセールスの強化に努めており、本年度は米国マイアミでクルーズ船の誘致活動を展開した。再来年の4...
Local Topics 2017<6> 画像

日勝峠 待望の開通/社会基盤整備の重要性露わに/Local Topics 2017<5> 胆振

2017-12-14付 連載・特集

 国道274号日勝峠は、ことし10月28日に1年2ヵ月ぶりの開通を果たした。開通時には、室蘭側の通行止めゲート手前に、80台以上の車両が待機。ゲートが解放された際には、関係者に対しドライバーから「ありがとう」「お疲れ様でした」などと声をかけ...
Local Topics 2017<5> 画像

定住人口の確保が鍵に/大型施設建設に沸く倶知安・ニセコ地区/Local Topics 2017<4> 後志

2017-12-13付 連載・特集

路線価上昇全国1 倶知安・ニセコ地区で路線価の上昇が止まらない―。札幌国税局の発表したことしの道内路線価では、「道道ニセコ高原比羅夫線」の上昇率が全国1位となる77.1%を記録した。地価上昇の要因については、海外の富裕層を対象としたホテル、...
Local Topics 2017<4>画像

農業土木で情報化施工/雨竜川治水対策促進へ期成会発足/Local Topics 2017<3> 空知

2017-12-12付 連載・特集

全国初の試行 農林水産省はことし3月、低コスト農地整備推進実証事業を創設。農業農村整備事業で情報化施工を試行し、得られたデータの営農への利活用も含めて、効果や課題を検証する。 本年度は全国2地区の試行で、空知総合振興局が所管する経営体西川西...
Local Topics 2017<3> 画像

日ハム新球場 真駒内公園案が浮上/道央圏では工場建設が加速/Local Topics 2017<2> 石狩

2017-12-11付 連載・特集

選定に決め手欠く ことし10月、一部報道で北海道日本ハムファイターズのボールパーク構想にかかる候補地に、道立真駒内公園が浮上した。ボールパークの候補地をめぐっては、これまで、札幌市が提案する旧共進会場跡地周辺と北大構内の2ヵ所、北広島市が掲...
Local Topics 2017<2> 画像