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建設産業の持続的発展へ/社会資本 着実に整備・維持/新任副局長に聞く⑤釧路建管 釧路総合振興局副局長兼根室振興局副局長 河合 龍寿 氏

2020/06/12付 連載・特集
釧路総合振興局副局長兼根室振興局副局長 河合 龍寿 氏 画像

釧路総合振興局副局長兼根室振興局副局長 河合 龍寿 氏

 かわい・たつひさ
 1989年北大工学部卒。2017年網走建管事業室長、19年建設部河川砂防課長、ことし4月現職。
 1964年10月14日生まれ、55歳。浦河町出身。

―新任の抱負について

 釧路・根室管内は、地震や高潮災害、台風による豪雨災害など大規模な自然災害に見舞われてきた地域。昨今は千島海溝周辺において、巨大地震発生の可能性も指摘されており、洪水や津波・高潮などに備えたハード・ソフト両面からなる総合的な防災・減災対策を進めていくことが極めて重要と認識している。
 一方で、地域の実情を熟知し、地域の経済や安心な暮らしを支える上で重要な役割を果たしてきた建設産業を取り巻く環境は、少子化の進行による就業者の高齢化など依然として非常に厳しい状況が続いている。
 新たな担い手の確保・育成が喫緊の課題となっている。引き続き、週休2日制の導入などの就業環境の改善やICTの活用による生産性の向上など、働き方改革の取組を推進し、建設産業の持続的発展に向けて支援を行っていきたい。

―管内の印象について

 釧路・根室管内は、釧路湿原や阿寒摩周、知床といった3つの国立公園のほか、3つの道立公園があり、自然豊かなところ。また、新鮮な魚介類が豊富で、有数の酪農地域であるなど、豊かな自然を背景とした農林水産業が盛んだ。国内はもとより、海外からも多くの観光客が訪れるなど、まさに北海道の強みである「食」と「観光」を育む地域となっている。
 道東自動車道が阿寒インターまで開通しているほか、国において整備が進められている高規格幹線道路は、ことし3月に根室道路の温根沼~根室インター間が開通し、産業発展や観光活性化のさらなる向上が期待されている。
 地域経済を支える豊かで潤いのある生活空間の確保に取り組むとともに、地域の皆さんの安全・安心な暮らしが守られるよう、地域と密着した社会資本の着実な整備・維持管理に努めていく。

―本年度の主要事業について

 道路事業では、農水産物の輸送、観光アクセスの向上や緊急輸送ルートを確保するため、幹線道路網の充実・強化に努めていく。薫別川北線の線形改良を進めるほか、釧路鶴居弟子屈線の旭跨線橋などの橋梁補修を行う。
 河川事業では、局所的な集中豪雨や台風などの異常気象から安全・安心な暮らしを守るため、釧路川において、釧路川工区の築堤工と護岸工の整備を行う。釧路町別保市街地等の治水対策では、別保川工区の河道掘削や、標津川の築堤工などを着実に進める。
 建設海岸事業では、海岸侵食や高潮に加え、津波災害から国土を保全するため、霧多布海岸の防潮堤の整備を継続するほか、羅臼海岸の護岸の整備を進めていく。
 漁港事業では、尾岱沼漁港で屋根付岸壁施設など衛生管理型漁港の整備を引き続き推進する。老朽化が著しい琵琶瀬漁港では、機能が低下している施設の保全工事を実施する。

―業界へのメッセージ

 地域の建設産業に携わる皆さんには、公共施設にかかる調査設計から、建設工事、維持管理、除排雪、さらには災害時における緊急対応や災害復旧に至るまで、様々な役割を担っていただいており、深く感謝している。
 今後とも、地域の安全・安心の確保に欠かせない建設産業の持続的な発展に向け、「北海道建設産業支援プラン2018」に沿って建設産業振興のための取組を進めるとともに、安定的な公共事業予算の確保にも努めていく。活力ある地域づくりに一層貢献していただけることを期待している。(連載おわり)

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