新カーリング場完成間近/担い手確保・育成へ取組加速/Local Topics 2019〈9〉宗谷
2019/12/23付 連載・特集
国際大会の開催も
稚内市における新たなカーリング場の建設工事が大詰めを迎えている。緑地区の旧稚内大谷高校跡地に整備される新カーリング場は、国内主要大会をはじめ、国際大会の開催も可能な規格。地元では、早期の完成に期待が高まっている。市のカーリングの歴史は古く、ノシャップ岬にある現施設は国内初の屋内カーリング場。現在も毎年大会が開かれるなど、市民はもとより、競技者からも親しまれている。
一方で、建設から50年余りが経過し老朽化が深刻な課題に。こうした状況も踏まえ、市は、憩いの場としての機能とともに、スポーツ施設の集約化を図ることを目的に、2016年度から屋内多目的運動場とカーリング場を一体的に整備する「みどり公園整備事業」を進めている。
新施設はRC造2階建で、延べ床面積2787.92平方メートル。1階にメーンとなるカーリングホールなどが入り、2階には観覧スペース、多目的ホール等が設置される。通年での開館を予定しており、施設を所管する稚内市教育委員会の表純一教育長は「老若男女問わず楽しめる施設を目指したい」と意気込む。
活性化の起爆剤に
市は、16年度の基本設計、17年度の実施設計を経て、18年度に着工。工事が着実に進み、地元の期待も高まる中、事業効果を最大限に発揮させるための動きも活発化している。稚内北星学園大学は、カーリング競技の特待生制度を創設。斉藤吉広学長は「競技人口の増加のほか、地域に移住する人が増えることで、まちの発展につながれば」と展望する。稚内観光協会は、カーリング体験等を実施し観光客を呼び込む構想を描いており、「新たな観光の目玉になれば」(担当者)と期待を寄せる。
カーリング場は、来年5月のオープンを予定。屋内体育館などの施設は10月に完成する。名称は「稚内市みどりスポーツパーク」に決定し、まちの新たな顔として歩みをはじめる。
日本カーリング協会の会長を務める錦産業(株)の貝森輝幸会長は「まちの活性化につながる起爆剤になってほしい。そして、稚内の子どもたちの中から、五輪選手が出てもらえたら」と期待する。「今後、国際大会や国内主要大会の開催も視野に入れている」と話すなど、新施設の完成を間近に控え、関係者の期待と夢が膨らんでいる。
研修の成果を確認
建設業界における担い手の確保・育成が喫緊の課題となる中、工業系高校がない宗谷管内では、業界一丸となって課題解決に向けた取組を進めている。その一つが、稚内建設協会が15年度にスタートし、ことし5年の節目を迎えた若手技術者研修だ。土木や建築、測量など業界で働く上で必要な知識習得に向け、その年に入社した新入社員が勉学に励むもの。北海道建設業信用保証(株)(吉田義一社長 ※「吉」は土に口)の助成事業を活用し、5年間で57人が修了した。
現場に出た修了生は「研修で学んだことが、しっかりと生かされている」と話す。事業を主催する協会は、研修の効果に確かな手応えを感じており、今後も継続して取り組んでいく方針だ。
各社においては、担い手確保のため、週休2日工事を積極的に実施。開発局や道の試行工事で、宗谷は全道平均を上回る実施率となっており、各社の休日確保に向けた意識の高さがうかがえる。稚内建協の老田秀樹事務局長は「各社が長時間労働を是正し、若年者の確保につなげようとしている」と説明する。
学科試験合格へ
ことし4月、2級土木施工管理技士の学科試験合格を目指す「土木施工基礎技術」の授業が稚内大谷高校でスタートした。学校の選択科目の一つとして8人の生徒が受講し、10月末の試験に挑戦。合格発表は来年1月の予定だが、担当の木村泰優教諭は「うまくいけば4人以上の合格が見込める」としており、取組の成果が結果となって表れようとしている。管内の関係者は「人口減少・少子化が急速に進行する中で、危機感をもって課題解決に取り組んでいる証拠」と評価する。その上で「地域の安全・安心を守るためにも、今後も一丸となって人材の確保・育成に取り組んでいく」と話している。
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