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北5西1・2推進が再開発誘発/円山動物園100万人突破/Local Topics 2019〈1〉札幌

2019/12/13付 連載・特集
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北5西1・2地区の準備組合設立を皮切りに、札幌市の再開発事業が慌ただしく動き出している

札幌五輪から半世紀新たなまちづくりへ

 1972年の札幌冬季オリンピックでは、開催に向けて15~20年分のインフラが「通常では考えられないスピードで整備が進められた」(関係者)。68年には、地下鉄南北線北24条~真駒内間の建設が実質2年9ヵ月という工期で完成し、オリンピック開催年の元旦に運行となった。
 札幌市街地では、整備された交通インフラの地下鉄沿線や国道沿いにビルの建設ラッシュが続いた。オリンピック景気に沸き、都市の発展とともに商業施設が駅前通りに建ち並び、街並みが激変した。それから、半世紀近くが過ぎ、当時に建てたビルが老朽化し更新の時期を迎えている。
 現在の再開発需要は、施設の老朽化とともに2030年の北海道新幹線札幌延伸と札幌冬季オリンピック開催に向けた札幌市の招致の動きが大きな誘発要因となっている。市では新たなまちづくりに向け、公共スペースの整備などの特定の取組に対して容積率緩和を定めた開発誘導方針を18年12月に策定。近年の民間主導の再開発事業はこのため、商業スペースだけではなく、公共的スペースも配した施設が大型の再開発事業で進められている。
 再開発で市民の関心が高い北5西1・2地区では、市とJRグループが用地を所有する。再開発基本構想案では、バスターミナルの再整備を含む再開発ビルの建設を計画しており、北5西1街区に都市間バス、北5西2街区に市内路線バスを1階部に配置する。
 11月に準備組合が設立となり、JR北海道の島田修社長は「渋谷スクランブルスクエアの47階(230メートル)を超える規模を目指す」と発表し、周囲を驚かせた。新施設には、商業、国際水準のホテル、高機能オフィスの誘導を計画。北海道新幹線札幌延伸を踏まえ、交通拠点としての機能の構築も検討されている。
 こうした北5西1・2地区の準備組合設立の動きは、北5東1地区や北5条手稲通を挟んで南側に面する北4西3地区の再開発事業を後押しする相乗効果を生んでいる。
 北4西3地区の事業関係者は「着工に向けた再開発の動向が、地区同士をいい意味で刺激し合っている」と話す。都心で長らく未利用の状態(旧札幌西武本館等跡地)となっていた北4西3地区だが、21年にも本組合が設立されるのではと関心を集めている。
 道都の玄関口となるJR札幌周辺で、大型再開発事業の動きがにわかに慌ただしくなってきた。

行動展示超える事業創出に期待

 円山動物園の2018年度来園者数が100万人を突破した。昭和の動物園ブーム以来、39年ぶりの快挙とメディアに取り上げられ、大きな話題となった。
 円山動物園の施設整備は一般会計の公園緑化費で賄われている。入場者数が落ち込み、施設の老朽化とともに経費がかさんでいた当時を、関係者は「長らく市議会でも閉鎖の話が議論されていた」と明かす。
 そうした中、旭川市の旭山動物園が04年7月、月間入場者数日本一という快挙を成し遂げた。野生動物本来の行動を展示する前例のない取組が、奇跡を生むことになる。
 円山動物園も旭山の成功を盾に来園者100万人を目指した改善策を講ずるため、議会の説得に腐心する。施設の普遍的価値を高めるために、①環境教育の拠点②絶滅危惧種の保護③メディアへの情報発信―の3点を掲げ、予算の確保に奔走した。
 議会の了解を得た市は、行動展示の施設整備を積極的に展開。来園者数100万人突破の大きな原動力となった。
 しかし、年間施設維持費をすべて賄うために円山動物園の関係者は「年間150万人の入場者数が必要」と話す。人口減少社会に移行し、高齢化社会が進む中で今後、厳しい動物園の運営が予想される。行動展示を超える魅力ある事業の創出を、ぜひとも「円山」から全国に発信してほしい。そんな願いを込め、関係者の新たな挑戦に期待が高まっている。

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