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胆振東部地震から1年/厚真町 被災住宅再建を優先/Local Topics 2019〈5〉胆振・日高

2019/12/18付 連載・特集
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関係機関が連携し、復旧工事を推進。各現場の情報を共有し、事業の円滑化を図っている

復旧は順調に進捗

 昨年9月6日に発生した北海道胆振東部地震から1年が経過した。厚真町で最大震度7、安平町とむかわ町で震度6を観測し、胆振管内を中心に甚大な被害が発生。現在は本復旧工事が本格化しており、国や道、市町などの発注者や、地元企業をはじめ全道の建設企業が、一日も早い復旧・復興に向けてまい進している。
 ことし3月に、室蘭建管、室蘭開建、胆振総合振興局、厚真町で構成する「胆振東部地震災害復旧工事厚真町安全連絡協議会」が設置された。多くの工事関係車両などが通行し、交通混雑・渋滞、住宅への振動、道路の粉塵・汚れ・損傷など、多数の課題に対応するため、各発注機関と受注者との連携強化を図っている。
 室蘭建管では、入札の不調・不落対策として、発注ロットの大型化やフレックス工期の導入といった取組を実施。地域外の建設企業の活用や技術者の専任要件を緩和した共同企業体「地震災害復旧JV」を導入し、災害復旧工事の円滑な執行に取り組んできた。
 室蘭建管が9月末までに発注した災害復旧および災害関連工事は69件で、うちJV受注は40件。A1が32JV、A2が8JVで、構成員の組み合わせは管内同士が23JV、管内と管外が14JV、管外同士が3JVとなり、管外業者の参加は21社だった。
 この結果を受け、関係者は「管内の資機材や技術者が不足する中、道内すべての建設産業が一丸となって取り組むことで、復旧が加速している」と取組の成果を強調する。
 厚真町から受託した代行事業は、8月末時点で23ヵ所のうち15ヵ所が着工済みで、全体に占める割合は65.2%。事業区分別では、土木事業が21カ所中13ヵ所で61.9%、堆積土砂排除事業が2ヵ所中2ヵ所で100%となっている。
 胆振総合振興局の縄田健志副局長は「復旧JVの活用など早期復旧に向けた取組の推進や、建設産業団体、厚真町などの協力もあり、復旧は順調に進捗している」と状況を示している。

被災者の生活再建

 インフラの復旧が順調に進む一方で、住宅を失った住民の支援策については十分ではないとの見方がある。厚真町における住宅被害をみると、全壊が233棟、大規模半壊が69棟、半壊が260棟、一部損壊が1085棟で、住家被害は計1647棟にものぼった。
 いまだ仮設住宅での生活を余儀なくされる被災者も多くいる中、町は11月に第1期復旧・復興計画を策定。住宅再建にかかる各種支援制度を拡充したほか、災害公住32戸を来年10月までに建設する計画などを示した。
 町は、発災から1年が経過した9月7日、厚真町総合福祉センターで北海道胆振東部地震追悼式を挙行。遺族や地域住民のほか、鈴木直道知事など約600人が参列し、未曽有の災害で犠牲となった37人を悼んだ。
 宮坂尚市朗町長は「インフラの復旧は支援策が充実しており、地方の負担も減っている。発注作業などもスピーディーに行われている」とする一方、「被災者の生活再建に関する制度については、十分な支援を得られていない」と問題点を指摘する。

復興に向けた支援

 こうした中、胆振総合振興局は昨年、公共インフラの復旧・復興や地域の未来を担う人材の育成、移住・定住の取組強化などあらゆる方面から支援する目的で、「いぶりONE復興プロジェクト」を立ち上げた。
 プロジェクトの一つとして、胆振の復興を確実に進める「元気な人材」の呼び込みと定着に向け、ことし8月に胆振管内の自治体や大学などの計18機関・団体で構成する「いぶり人財懇話会」が設立された。
 今後、産官学が連携し、人材の確保に向けた施策を推進するほか、各団体が情報を共有することで、産業界における人手不足に対応していく。
 胆振総合振興局胆振東部地震災害復興支援室の丹羽崇博主幹は「こうした取組の積み重ねが、一日も早い復興につながる」と期待している。

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