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若松ふ頭暫定供用で効果発揮/第2青函トンネル構想実現へ/Local Topics 2019〈6〉渡島・檜山

2019/12/19付 連載・特集
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若松ふ頭への第1船となったマルタ船籍の「アザマラ・クエスト」。約1000人の乗員乗客が函館を訪れた

過去最多の寄港数

 ことしの函館港への寄港数は昨年から20隻増の47隻となり過去最多に。クルーズ船の乗員乗客数は約3万8000人増の9万4000人を記録した。函館財務事務所によると、乗員乗客数が増加したことで新たに5億円の経済波及効果が生まれたと推計している。
 函館市の担当者は、好調なクルーズ船誘致の要因として、若松ふ頭の暫定供用による受け入れ態勢の充実を挙げる。昨年10月に暫定供用を開始した若松ふ頭では、ことしから4万トン級のクルーズ船を対象に受け入れを開始し、計18隻のクルーズ船が寄港。これまで主に港町ふ頭で受け入れてきたが、新たに若松ふ頭が暫定供用したことで、同日2ヵ所での受け入れも可能になり、クルーズ船誘致の追い風となった。


さらなる利便性向上へ

 函館港に最も多く寄港実績のある「飛鳥Ⅱ」を保有する郵船クルーズ(株)は来年9月、初めての函館港発着クルーズを企画。同社の担当者は「北海道新幹線や函館空港からのアクセスも良い」と集客のしやすさを利点として挙げるが、現状では約5万トンの飛鳥Ⅱは港町ふ頭でしか受け入れられない。
 若松ふ頭では11万トン級の寄港が可能となる本格供用に向け、函館開建が残る岸壁整備と水深10メートルの泊地浚渫を進めている。岸壁の完成と水深9メートルが確保された段階で新たに9万トン級のクルーズ船の寄港が可能となる。
 新幹線駅や空港と直結している函館駅から徒歩圏内と、アクセス性の高い若松ふ頭に発着することで、集客力がさらに高まることも期待される。
 一方、函館市は、出入国管理等の手続きができるクルーズ船専用旅客ターミナルの建設を計画。これまで船内で行っていた手続きは検査機材設置などに時間を要していたが、ターミナルの完成により時間短縮が図られ、観光時間の増加など利便性が高まることが期待される。
 函館財務事務所は、施設の充実により、函館駅や有名観光地に近い若松ふ頭の利用が増えることで「乗客の回遊性が高まり、港町ふ頭着岸時より大きな観光消費が見込める」と展望する。

地域の期成会発足

 北海道新幹線は、青函トンネル内の在来線との共用区間において貨物列車とのすれ違い時の安全確保のため、速度制限が設けられている。共用区間を解消し新幹線の性能を最大限発揮できるよう、民間3団体が第2青函トンネル構想を提言。これらの構想では、新幹線の高速化や貨物列車・トラックなどによる輸送力向上、輸送コスト削減といった効果が示されている。
 有人自動車走行を想定した「第2青函多用途トンネル構想」を提言する第2青函多用途トンネル構想研究会は、トンネル30キロメートルの総工費に7229億円を試算。PPPなど民間主導で行うと約50年で投資回収可能との試算を示し、決して夢物語ではないことを強調している。
 各団体が第2青函トンネルは実現可能とする構想を示す中、こうした機運に乗ろうと、かつて青函トンネル建設の前線基地であった福島町でことし2月、鳴海清春町長を会長に、町議会や商工会等の関係者で構成する「第2青函トンネル構想を実現する会」が発足。講演会の開催や鉄道運輸機構との意見交換などを行い、構想実現に向け、さらなる機運醸成を図っている。

機運醸成へ情報発信

 福島町で講演を行った京都大学大学院の藤井聡教授は、物流の大半をトラック輸送が担っている中、津軽海峡で道路のリンクが切れていることが、北海道の競争力を低下させる要因になると指摘。第2青函トンネルを「北海道の発展に不可欠」との考えを示した。
 鳴海町長は「町だけでなく、外に向かって北海道の振興のためにトンネルが必要だということを訴えていかなければ」と強調。期成会設立後、町外の建設業者なども会員になり、少しずつ広がりを見せているが、「会員数は伸びておらず、まだまだ周知が足りてない」(町の担当者)。
 同会では今後、第2青函トンネル構想を提言している団体などと連携しながら、賛同する会員の募集を広く呼びかけていく。

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