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国際バルク港湾が供用開始/釧路東~釧路別保上別保道路 待望の開通祝う/Local Topics 2019〈12〉釧路・根室

2019/12/26付 連載・特集

穀物荷揚げ量増加

 国際バルク戦略港湾釧路港として整備された水深14メートル岸壁が、ことし3月末に供用を開始した。
 現在主流となっている6~8トン級のパナマックス船が満載で寄港することが可能となり、1回当たりの輸送量が増加し、海上輸送回数が減少。効率的な輸送体系が実現することで、飼料原料のコストが低減され、生乳・乳製品の一大産地である道東の安定した酪農生産につながることに期待が寄せられている。
 運営者の釧路西港開発埠頭(株)によると、本年度上期の穀物荷揚げ実績は、前年同期と比べ16%増となっているという。同社の鈴木信社長は「船舶大型化の効果が表れていると受け止めており、今後さらに海上輸送の効率化に貢献できるのでは」と期待する。

民間投資が活発化

 供用開始後、民間投資も活発化。飼料メーカー大手の中部飼料(株)は、国際バルク戦略港湾の供用開始に合わせ、ことし9月に家畜用飼料の新工場を建設した。同社担当者は「新たに稼働する釧路工場から道東の畜産農家への安定的な供給を実現したい」と抱負を語る。
 港湾輸送などを手がける三ッ輪運輸(株)は、輸入した飼料などを保管する西港2号サイロをことし4月に66基から83基に増設し、飼料会社への供給に対応。同社担当者は「道東地区における配合飼料の需要も年々増加しており、釧路港背後の飼料工場の生産も好調。トウモロコシ配船商社の協力を受け、当社の取扱い数量も増加した」と手応えを感じている。
 国内生乳生産量日本一を誇るJA道東あさひの原井松純代表理事組合長は「飼料穀物のほとんどは米国等からの輸入に依存しているため、飼料穀物の価格が営農に与える影響は大きく、価格の安定にも寄与するバルク港の供用開始には非常に期待している」と話している。
 配合飼料原料の玄関口として、これまで以上に大きな役割を担う釧路港。道東の安定した酪農を支える上で、必要不可欠な港として存在感をさらに高めている。

救急搬送効果大きく

 ことし3月に釧路外環状道路の釧路東IC~釧路別保IC間6.9キロメートルと釧路中標津道路の上別保道路6.6キロメートルが待望の同時開通となった。同時開通により、中標津町から釧路市間の所要時間が夏期・冬期ともに5分短縮、根室市から釧路市では4分短縮される。
 救急医療の現場では、1分1秒の差が急病者の生存率に大きな影響を及ぼす。根室市消防本部の隊員は「近年、脳神経外科への搬送が多く、釧路外環状道路の中央ICを降りてすぐにある釧路孝仁会記念病院へ搬送する利便性が非常に高くなった」と強調。これまで利用していた市街地の走行と比べ、スムーズな搬送が実現し、安全性の向上や患者への負担軽減も実感しているという。
 中標津町商工会の職員は「インバウンドや国内旅行者の観光ルートの利便性が図られ、観光客が増加傾向にある。経済効果が地域の活性化につながっている」と分析する。
 一方で、本年度は44号尾幌糸魚沢道路が待望の新規事業化となった。政府の地震調査委員会によると、今後30年以内に千島海溝沿いにおいて、大津波をもたらす巨大地震の発生が切迫している可能性が高いとされている。
 現道は、津波浸水予測範囲が多く点在しており、災害時に道路ネットワークが寸断されるなど、甚大な被害が予想されている。若狹靖厚岸町長は「防災・減災の観点からも、できるだけ早期の着工と、工事の進捗を早めてもらいたい」と期待している。

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