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嵩上げ本体工 複数期の工事発注か/同軸嵩上げと並行し放流管移設/雨竜川ダム再生事業で札幌開建
2023/08/30付 DOTSU-NET NEWS
札幌開建所管の雨竜川ダム再生事業で嵩上げする雨竜第2ダムの本体工は、2024年度から複数期にわたって建設工事が発注となるもようだ。予算措置など流動的な要素を残すが、WTO対象工事となる見通し。第1期建設工事の発注手続きは24年度内に完了となり、25年度にも本格的に着工すると想定される。施工に当たっては、既設ダムの同軸嵩上げと同時に放流管を移設する計画。同一のダム再生事業において並行して両方を整備するのは全国的にもまれで、今後、最適な施工手順について検討を重ねていく。同事業は、既設の雨竜第1・第2ダムの有効活用で利水容量の一部を洪水調節容量に振り替えるとともに、雨竜第2ダムを嵩上げすることで洪水調節容量の拡大を目指すもの。18年度からの実施計画調査、22年度の新規事業採択時評価を経て、23年度から建設段階に移行した。
総事業費は約449億円。試験湛水や付帯工事等含む事業完了は33年度を予定している。
現在は3.8メートルの同軸嵩上げに向け、本体工の実施設計を進めているところ。近年頻発する洪水災害から地域社会を守るため、早期着工に期待が寄せられる中、24年度予算概算要求では本体工および工事用道路整備に要する費用などとして43億7200万円を計上した。
既存の雨竜第2ダムは、河川に一定の流量を保つための維持流量として、堤体に空いた放流管から常に毎秒0.8トンの水を放出している。施工では、同軸嵩上げと同時に放流管を移設する方針。同一のダム再生事業において並行して両方を整備するのは全国的にまれで、最適な施工手順が重要となる。
整備後は、下流側からみて右側の既存ゲートの位置に非常用放流設備、中心に常用放流設備、左側に放流管を配置。現況の放流管は既存ゲートの位置にある。洪水時に毎秒0.8トンより多くの水を放出するため、下流からみて左側の堤体のさらに下部に移設する。
維持流量を保つ必要があることから、堤体左側の放流管を先行して移設する可能性が高い。嵩上げと同時に放流管を設置するため、コンクリート打設についても堤体の下流からみて左側を先行して整備することが想定される。
堤体の嵩上げは、新桂沢ダムの同軸嵩上げと同様に11月下旬~4月中旬が打設休止期間となる見通し。放流管移設を伴う複雑な手順となることから、打設期間は新桂沢ダムと同様の冬期休止区間を除く15・5ヵ月間、またはそれ以上となることが予想される。
要求どおりの予算が措置された場合、24年度は堤体建設工事の発注作業を進め事業者との契約を締結するほか、工事用道路の整備を行う予定。本体工の建設工事は、これまでの事例を踏まえると、複数期にわたって発注になるとみられ、いずれもWTO対象工事となる公算が大きい。入札契約方式や契約状況にもよるが、第1期の本格的な建設工事着手は25年度と予想される。
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