洪水調節機能増強 上流軸に支川で調査／様々な候補視野に計画変更も／豊平川流域ＰＪ２.０追加対策 － 札幌開建

　札幌開建は、豊平川流域治水プロジェクト２.０に盛り込んだ対策の具体化に向けて、石狩川水系豊平川河川整備計画の変更を予定している。新たに追加した洪水調節機能の増強に関しては、豊平川上流を軸に検討。現在は、様々な候補を視野に入れつつ、豊平川上流の支川で地質調査などの調査を進めている。河道掘削の新たな整備個所は、豊平川の下流域が有力となっている。具体的な対策内容は流域委員会における河川整備計画変更の過程で決定する考えだ。

　流域治水プロジェクト２.０は、全国１０９の１級水系における新たな治水対策の方向性を示したもの。気候変動を踏まえ、流域治水の取組を加速化・深化させるための達成目標や追加対策等を明示しており、豊平川流域治水プロジェクト２.０では、河道掘削、洪水調節機能の増強、ハイブリッドダムの検討などを列挙している。
　河道掘削では、約４０万立方メートルの追加整備を見込む。現行の河川整備計画をみると、豊平川と厚別川で河道掘削を計画。現在は厚別川で河道掘削を実施しており、整備計画変更時点の進捗状況によっては継続となる見通しだ。
　新たな河道掘削区間としては、豊平川の下流域が有力。中・上流域は、堤防に市街地が近接し、地下には地下鉄などの地下構造物が埋設されており、河道掘削が困難な状況となっている。
　洪水調節機能の増強に当たっては、既設ダムの嵩上げ、新設、事前放流などが考えられるが、これらの候補を総合的に検討するもよう。現在は、豊平川上流の支川において地質調査等を行い、基礎資料作成を進めている。
　豊平川と上流の支川・小樽内川、薄別川、白井川における既設構造物をみると、豊平川に豊平峡ダムと北海道電力（株）の砥山ダム、小樽内川に定山渓ダムがあるほか、薄別川に豊平峡ダムに水を供給する取水口が位置する。
　構造をみると、砥山ダムと定山渓ダムは重力式コンクリートダム。既設ダムの堤体嵩上げなどによる洪水調節機能の増強は道内でも新桂沢ダムなどで実績があり、現在は雨竜第２ダムで同軸嵩上げを進めている。
　豊平峡ダムはアーチ式コンクリートダム。構造上放流設備の改築等は困難であり、既設アーチダムの嵩上げ等を行った事例は世界的にみても少ない。
　追加対策の詳細は、流域委員会における河川整備計画変更の過程で議論し決定する方針だ。