水源候補地に安平川／送水管２２㎞、事業費最大２００億／半導体製造拠点取水有識者懇

　道の次世代半導体製造拠点取水可能性調査事業委託業務に係る有識者懇話会が２８日、札幌市内のＴＫＰ札幌ホワイトビルカンファレンスセンターで開かれた。２０２７年の量産開始までに必要な水量を確保できる可能性が高いとの評価に基づき、水源候補地として苫小牧地区工業用水道第２施設（安平川）を推薦することで合意。苫小牧工水案では、送水管２２キロメートルや送水ポンプ場を整備する計画で、事業費に１７０～２００億円を試算している。約３年間の事業期間のうち、工期として約２年間を見込み、２７年第１・四半期の完成を掲げていることから、採用となれば最短で２４年度にも着工となる可能性がある。

　事務局を務める道が水源候補地の最終的な案として絞り込んだのは、千歳川と安平川（苫小牧地区工業用水道第２施設）の２案。千歳川は新たな水源の確保や既存水源の振り替えに伴い協議・調整を要する関係者が多岐にわたること、安平川は既存の工業用水利用者などとの調整が必要となることを挙げていた。
　最終会合では、水源候補地の絞り込みに向けて評価内容を示した。うち苫小牧工水案では、水の供給に当たって、地盤の脆弱な区間を回避しＪＲ・河川などとの交差が少ないルートを選定。第２施設の既設の取水堰、浄水場および送水管を活用する。製造拠点に向かって地形が緩やかに高くなり逆勾配となるため、ポンプ圧送が必要としている。
　整備内容は送水管２２キロメートル、送水ポンプ場で、事業費に１７０～２００億円を試算。新たな取水施設や浄水場などが不要で、水利権も取得済みのため、事業期間は千歳川案よりも２年程度短い約３年間となっている。
　環境影響や協議・調整といった観点も踏まえ、総合的な検討を行った結果、量産開始までに必要な水量を確保できる可能性が高い案として苫小牧工水を評価。苫小牧工水案に優位性があるとする懇話会の結論も踏まえ、道は１０月上旬に候補地を決定するとしている。