無人地帯を目視外飛行／開発局 石狩川流域で道内初／防災向け自動巡航ドローン実証試験

　開発局は１８日、石狩川流域と千歳川流域で防災向け自動巡航ドローンの実証試験を行った。このうち石狩川においては、垂直離着陸と高速巡航の両機能を備えたＶＴＯＬ機を使用し、道内初となる無人地帯での目視外飛行を実施。実際の災害現場等を想定しながら、広範囲の巡視を短時間で実現するなど巡視省力化の一助として期待されるＶＴＯＬ機への理解を深めた。
　実証試験は、災害時の巡視を効率的かつ迅速に実施できるニーズに対応するための取組で、（株）ＮＴＴデータが主導。自動航行ドローンによる巡視・点検が実現すると、災害時などでも直接現地に行くことなく巡視でき、省力化が期待されている。
　今回の実証試験では、石狩川流域でＶＴＯＬ機を使用。ＶＴＯＬ機は、垂直離着陸と高速巡航の両方を可能にしたドローンで、広範囲を短時間で巡視することができる。
　自動の目視内飛行を指すレベル２飛行のほか、石狩川流域の一部区間では無人地帯での目視外飛行を指すレベル３飛行を実施。道内でＶＴＯＬ機を使ったレベル３の実証試験は初の試みとなる。
　当日は江別市の美原大橋から新篠津村のたっぷ大橋までの約２８キロメートル区間を、時速６０～７０キロメートルで飛行。うち出発地点から１.７キロメートル進んだ地点から８キロメートル区間で、レベル３飛行を実施した。機体映像もリアルタイムで配信し、実際の災害現場を想定しながら、ＶＴＯＬ機巡視の利点などを確認した。
　このほか千歳川流域では、回転翼機による詳細調査を想定したレベル２の実証飛行を実施。２河川の同時航行を管理するドローン運行管理システムの実証を行った。
　河川管理課の唐澤圭開発専門官は「今後は航空法などの法的な課題解決や運用手法の確立に向けて取り組んでいきたい」、ＮＴＴデータの向上啓氏は「今回の実証で技術的な課題はクリアできていることは分かったが、法的側面でのハードルが高いことも分かった。法的規制の緩和に至るような技術改良をさらに進めたい」と話した。