有効性の検証本格化／道農政部 地温データ収集等／農業農村整備による暑熱対策

　道農政部は本年度、営農技術部門と連携し、農業農村整備による暑熱対策の有効性について検証を本格化させる。道営事業完了地区の農家に対する聞き取り調査では、暗渠排水や畑地かんがいといった各種整備が地温等の上昇に伴う高温障害の軽減に一定の効果を上げていることを確認。今後は、実際の地温データを収集するなど定量的な視点で検証を行い、事業実施に向けた農家への情報提供に役立てたい考えだ。
　近年、地球温暖化に伴う異常気象で記録的な高温や集中豪雨などが頻発し、本道農業への影響が顕在化。昨年は猛暑によって、高温に起因する生育不良をはじめとした事象が発生したことを受け、道では技術普及部門を中心に「地球温暖化に対応する技術開発・普及に関する検討会」を開催した。
　基盤部門においてもこれまで、異常気象時における農業生産基盤整備効果の発現状況について調査を行っており、高温少雨下にあってもかんがい施設を整備した地域では未整備地域と比べ収量・品質が良好だったことなどを確認。同部は、こうした調査の成果も踏まえて今後、農業農村整備による対応を検証する観点から検討・調査を本格化する。
　ことし２月には空知、上川、オホーツク、十勝の４振興局管内で、整備完了から数年以内の地区を対象に農家への聞き取り調査を実施。水田では、暗渠排水や用水路のパイプライン化、集中管理孔の活用による地下かんがいといった各種整備を通じ、高温時でも水温・地温上昇の抑制が図られるなど暑熱対策としての定性的な効果を把握した。畑地帯についても、畑地かんがいによる夜間の自動散水で作物の生育安定化につながったことなどが確認された。
　同部では「どのような天候でも安定生産ができる基盤づくりを進めていきたい」と説明。検証結果の取りまとめ方法などは今後固めるが、事業実施に役立てられる資料作成も視野に検討を進める。