技術提案評価型 ＳⅠ型を試行へ／国交省 加算点現行より増も／発注者責任懇で総合評価等の改善協議

　国土交通省は２５日、東京都内で発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会の２０２４年度第１回建設生産・管理システム部会を開催した。一般競争入札・総合評価落札方式および技術提案・交渉方式の改善方策等について議論。技術提案評価型に関しては、品確法の趣旨も踏まえＶＦＭに基づく制度検討が必要との認識を共有し、加算点を現行以上に増やす試行と、仕様や工法の変更による品質向上が期待される事項について技術向上提案を求める仮称・ＳⅠ型の試行に乗り出すとした。年度内に詳細を詰め、２５年度から試行する見通し。
　会合では、技術提案評価型における課題として、技術点差がつかず、入札価格が調査基準価格付近に集中している状況を確認。「過去に繰り返し設定されてきた技術提案テーマほど技術点差がつかない傾向であり、競争参加者の技術提案が一定水準に集約されていると推察できる」とした。
　その上で「仕様として標準化できる部分については標準化し、技術提案テーマの設定としてはプラスアルファの部分を求めていくべきではないか」とし、競争参加者の応札行動を変容させる観点からも、加算点を現行の６０点よりも増やす試行に取り組む方針を提示。加算点の配点は、今後慎重に検討するとした。
　さらに、ＶＦＭに基づく技術提案評価型の検討として、仮称・ＳⅠ型の試行を計画。発注者において標準的な仕様案を設定できるが、競争参加者の技術提案に基づく仕様や工法の変更により、さらなる品質向上（総合的に価値の最も高い資材等の採用を含む）が期待される工事で適用する。
　参加者には、仕様や工法の変更による品質向上が期待される事項について技術向上提案を求める。提案内容については、当初契約時の使用には反映せず、発注者指示によって変更契約の対象とすることが基本。技術向上提案の採用に係る契約変更金額は、当面は予定価格の５％を上限とする。
　加算点を増やした試行、仮称・ＳⅠ型の試行は、年度内に具体の運用を検討し、２５年度発注分から開始。２５年度以降、フォローアップ調査等を経て、本格運用とする。
　このほか、技術提案・交渉方式はガイドラインの改正を予定。改正に当たっては、短期・中長期の２段階に分け、まずは施工者の負荷改善等に向けた留意点などを明記するとした。配置予定技術者要件については、現状の課題を考慮し幅広に設定するよう努める。