広域連携の在り方考察／能登地震での課題を生かす／開発局 防災・減災シンポジウム

　開発局は２日、札幌第１合同庁舎で防災・減災シンポジウムを開催した。能登半島地震で浮き彫りとなった課題に関し、本道での対応に生かすべく実施したもので、ウェブを含めて総勢約９００人が参加。情報提供、事例紹介、講演を通じて災害時の広域連携の在り方などを探った。
　シンポジウムは、北海道における地域の防災意識と防災力向上に資することを目的に開催。１３年度から道内各地で実施しており、本年度で節目の１０年目を迎えた。道、札幌市との共催で、ほっかいどう学推進フォーラムが後援した。
　開発局では、能登半島地震で浮き彫りとなった課題について、北海道に共通するものも多いと認識。「大規模災害において早期に救助や復旧を進めるには、行政・企業、住民の助け合い、連携が非常に重要になる」としている。
　さらに、ことし１１月に策定した「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震のＴＥＣ―ＦＯＲＣＥ受援計画」では、計画に基づき地震発災後、全国から多くのＴＥＣ―ＦＯＲＣＥ隊員が北海道へ応援に来ることから、受け入れ体制における連携も重要となっている。こうした背景からシンポジウムのテーマは“災害時の広域連携を考える”と設定した。
　冒頭、竹内正信事業振興部長は「自然災害から逃れることのできない国土条件の中で暮らすわれわれにとっては、防災事業を進めることはもちろん、一人ひとりが災害や防災についてよく知り、考え、個々にも対策を取っていくことが極めて重要」と強調。その上で「シンポジウムが皆さんの防災に役立てば」と期待した。
　続いて、開発局防災課の金田尚災害対策管理官が「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震におけるＴＥＣ―ＦＯＲＣＥ活動計画」について情報提供。道総務部危機対策課の平野宏和海溝型地震対策室長と札幌市危機管理課の染矢洋防災計画担当課長は「大規模災害への備え等、防災・減災の取組」について事例紹介を行った。
　最後に、東京大学大学院情報学環の片田敏孝特任教授が講演。災害への危機管理対応、災害情報伝達、防災教育、避難誘導策の在り方などを研究し、全国各地で防災活動を展開している経験も踏まえ「最近の大規模災害に学ぶこれからの地域防災」について説明した。