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技術・社会点 大幅に拡大/道の次期資格審査改正/ニュースファイル2020〈3〉

2020/12/04付 連載・特集
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次期資格審査に向けて、道と業界は繰り返し意見を交わした。技術・社会点が大幅に拡大する中、今後の動向から目が離せない

道工事受注量加味

 道は、2021・22年度競争入札参加資格審査に向けて、技術・社会点を大幅に引き上げた。技術力とともに、担い手確保などの課題に取り組んだ実績を高く評価する観点から、最大値を現行よりも153点拡大し、378点と設定。技術点を120点増の260点、社会点を33点増の118点に改めた。
 技術点では、最も比重の高い「工事施行成績」に現行の倍、全体の6割強に当たる240点を配した。評定数値の算出に当たっては、道からの受注量を加味する算定式を新たに作成。工事施行成績の2ヵ年平均点を主とする現在の算定式に、道発注工事の受注件数および実績額を補正することとした。
 札幌市内の業界関係者は、近年における各社の受注戦略にふれながら、「中位等級の工事では、道からの複数受注をためらう企業も少なからず存在した」と状況を示す。現在の算定式では、受注件数の増加によって評定数値が低下する恐れもあったという。
 一方、新たな算定式は受注量の増加が有利に働くため、「道発注工事の複数受注に力を入れる企業も増えるのでは」(業界関係者)と展望する。入札の不調・不落を防ぎ、道所管施設の整備を円滑に進めるためにも、道幹部は「今回の改正が、受注意欲の向上につながれば」と期待を込める。
 

地域貢献度を評価

 社会点では、風水害などが頻発している近年の状況を受け、災害の発生に備える各社の取組を評価。「災害時の対応など」においては、事業継続力強化計画または中小企業事業継続計画(BCP)を策定している企業に、10点を付与することとした。
 BCPの完成度に関しては、国が例示している入門編レベルでも加点。道幹部は「まずは策定することに主眼を置いた」と説明するが、将来的には、「質の向上を求め、経済産業局の認定を要する事業継続力強化計画への一本化も考えられる」との見通しを示す。
 「地域社会の維持への貢献」では、道所管施設の維持・除雪を担う企業の評価を重点化。「道との契約」に30点、「その他機関などとの契約」に10点を付与することとし、配点に差を設けた。
 道幹部は、所管施設の老朽化が進行する状況下で、「補修系工事の重要度はさらに高まっていく」との見方を示す。広大な国土を有し、地域によって交通量や気象条件が異なる本道においては、維持業務を円滑に進めるために、地元に根差した企業の知識と技術力が不可欠だと強調する。
 難易度が高く、利益率の低い補修系工事の受注に難色を示す企業は少なくないが、業界関係者からは「地元のために請け負った仕事が評価を受けるのであれば、入札参加に踏み切りやすい」との声も聞かれ、改正に賛同する意見は多いという。
 

今後の方向性は

 今回の見直しによって、最大値が2143点の客観点と技術・社会点のバランスは、現行の9.1対0.9から8.5対1.5に改められた。道は当初、技術・社会点を現在の倍程度とする案を提示していたが、急激な変化に伴う企業への負担を考慮し、「今回のバランスが妥当と考えた」(道幹部)。
 一方、他の都府県の工事発注官庁をみると、客観点と主観点の比率を8対2としている機関が多い。一部には5対5での運用も見受けられ、品確法の改正に伴い、技術力を重視する傾向はより強まっている。
 こうした状況を受け、道幹部は、「今後に向けて技術・社会点の比重をさらに高めていくことも考えられる」と見直しの可能性に言及する。続けて、「高い技術力を有し、災害対応や維持業務に当たる企業が全道に満遍なく存在する環境をつくらなければ」との課題も口にする。
 23・24年度競争入札参加資格審査に向けては、建管ごとの事業量格差を補正するなど地域性に配慮した制度設計も検討していくもよう。今回の改正を一つの出発点とし、どう舵を切っていくのか注目される。

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