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若手活躍する将来見据え/監理技術者の兼務運用/ニュースファイル2020〈4〉

2020/12/07付 連載・特集
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監理技術者選任の緩和

幅広い活用期待

 改正建設業法の一部施行により、ことし10月1日から監理技術者の専任要件が緩和された。従来、監理技術者は、一定の条件のもと1現場に1人を専任で配置することが義務付けられていたが、監理技術者補佐を配置すれば2現場を兼務できることとなった。
 国土交通省は、法施行を見据え、ことし9月に監理技術者制度運用マニュアルを改正。監理技術者を兼務する際の留意事項などを記したが、詳細は各発注機関で定められるよう幅を持たせた運用とした。
 開発局は、担い手確保・育成を主眼とした改正建設業法の趣旨を踏まえ、幅広く活用できる運用を目指す観点から、監理技術者の兼務に関する取扱いを策定。兼務の範囲を同一開建管内とし、他の発注機関との兼務も可能とすることとした。格付工種における対象等級はA・B混合等級以下、等級のない工種はWTO対象工事対象額未満で兼務可能とした。
 業界関係者からは「兼務する場合、監理技術者補佐を含め3人の技術者が必要となる。2件の工事を別々の監理技術者で受注する場合は2人で済むため、1人多くなりメリットを見いだしにくい」といった声も根強くある。
 兼務する場合に配置を義務付けている監理技術者補佐は、技士補以上の有資格者が必要。技士補は、2021年度試験から創設されるため、当面の間は、1級土木施工管理技士以上の有資格者配置が必要となる。通常よりも技術者を多く要するといった声の背景には、こうした事情がある。

補佐配置のメリット

 ただ、大きなメリットもある。監理技術者補佐を配置した場合、受注した当該工事における工事実績と工事成績が獲得できる点だ。ある業界関係者は「若手技術者を配置し、開発局発注工事を受注したくても、より同種性の高い工事実績や優秀な工事成績を有していないと難しい」と指摘する。さらに、ある業界関係者は「地方自治体で経験を積んで、それから開発局発注工事に挑戦する場合が多く、長い年数を要する」と話す。
 工事成績が高く、表彰などの実績を有する優秀な監理技術者を配置し、その下に監理技術者補佐として若手技術者を起用すれば、受注できる可能性は高くなり、工事完了後、その若手技術者は工事実績と工事成績を獲得できることになる。
 現行の総合評価落札方式においても、工事実績は担当技術者としての経験も評価しているが、より同種性の高い実績を満たしても、監理技術者や現場代理人としての経験の点数と比較すると半減する。工事成績は、監理技術者と現場代理人としての経験が評価対象で、担当技術者の経験は対象外だ。監理技術者補佐の場合は、いずれも同等に評価する予定。
 このため、監理技術者補佐だった若手技術者も1級土木施工管理技士の資格を有していれば、翌年以降の工事から、監理技術者として開発局発注工事で勝負できる環境が整う。開発局の担当者は「ぜひ若手技術者に活躍してもらいたい」と期待を寄せる。
 開発局発注工事の総合評価落札方式で配置された若手技術者育成型の年齢をみても、18年度、19年度のいずれも45歳以上の割合が63%と高い状況で推移。17年度との比較では、45歳以上の割合は5ポイント上昇している。
 本道に限らず全国的に技術者の高年齢化は深刻となっており、担い手の確保・育成が急務となっている。開発局における監理技術者の兼務に関する運用は、若手技術者にチャンスを与え、将来の担い手を確保したいといった切実な思いが込められている。

広がる選択肢

 今後、本年度当初ゼロ国債対象工事の発注が本格化するが、業界関係者は「まずは様子見で、兼務に関する各社の検討が本格化するのは、早期発注分が終わったあとになるのでは」と予想する。21年度の試験後には、技士補が誕生し、技術者配置の選択肢はさらに拡大する。各社の受注戦略にどのような影響を与えるか不透明だが、「将来の担い手確保を意識し、しっかりと実践した企業が、受注に向けた戦略のバリエーションも増えることは間違いないだろう」とみる関係者は少なくない。

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