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命をつなぎ守る大動脈/深川・留萌道全線が開通/Local Topics 2020⑧留萌

Local Topics 2020⑧画像
少子高齢化が著しい留萌管内においても深川・留萌道に続く高規格幹線道路網形成が不可欠となっている

地域医療の支えに

 深川西ICを起点に、留萌ICに至る総延長49キロメートルの深川・留萌道。3月28日、道内高規格幹線道路として初の全線開通を迎えた。夏季の一般道路通行時と比べ、留萌市~深川市間で約20分、留萌市~旭川市間で約30分の時間短縮を実現。とりわけ医療関係者から歓迎の声が多く上がっている。
 留萌管内における救急搬送先の約7割は、留萌市立病院。しかし、高次救急医療施設ではないため、脳疾患や心疾患、重大な交通事故などにより患者が重篤な症状に陥った場合、第3次救急医療施設のある旭川市内に搬送する必要がある。近年、高齢化が著しい管内では、旭川市への救急搬送が増加。留萌市立病院から旭川の病院への搬送件数は、2017年が34件、18年が65件、19年が70件と2年で倍増している。
 深川・留萌道の全線開通前は留萌市立病院から大和田ICまで5.5キロメートルだったが、全線開通によって留萌ICまで1.5キロメートルに近づいた。救急搬送は一分一秒を争うだけに、留萌市立病院の職員は「速達性の向上によって、多くの命を救うことにつながる」と話す。
 また、重篤な救急患者を搬送する手段として、ドクターヘリが挙げられる。万一の場合、旭川赤十字病院や旭川医科大学病院、名寄市立総合病院に空路で搬送するが、悪天候や日没後などの自然条件、他事案出動中などで出動できないケースもある。この場合、高規格幹線道路が全線開通していることで救急車両の安全で安定した走行が可能となり、患者の容体安定にもつながる。留萌消防組合職員は、「安全に迅速に運転できる高規格幹線道路の開通はとてもありがたい」と感謝の言葉を口にする。
 過去に配偶者が帝王切開で出産した経験のある地域住民の1人は、留萌市内の病院での出産が難しかったことから札幌市へ通院していたという。「妻を車に乗せて、冬場の悪天候の中、当時開通していた幌糠ICを利用した。整備された高速道路が家族の安全・安心を守ってくれた」と振り返る。留萌市街地に近いところにICができることで、さらに安心感が増すという。
 留萌市立病院では、札幌などの大学病院から医師が派遣されている。医師の約3割は、札幌市などから通勤しているため、通勤時間の短縮など医師の負担軽減にもつながっているという。病院関係者は「医療を受ける側、医療サービスを提供する側、双方にとって大きなメリットがある」と話す。

道の駅と相乗効果

 7月11日には、深川・留萌道の全線開通を見据え、留萌市が整備を進めてきた「道の駅るもい」がオープンした。既存の都市公園を活用し、開通した道路をいかに地域で有効活用していくかといった観点でも整備が進められ、留萌ICから5分という立地で、留萌市の玄関口としての役割を担う。季節ごとの各種イベント、観光資源や地域特産品の販売、情報発信拠点として親しまれている。
 来場者数は都市公園だった6月1ヵ月間で、1万2825人だったものの、道の駅がオープンした7月11日から30日までの来場者数は5万895人を記録。道の駅るもいの担当者は「コロナ禍においてもこれだけの人が訪れたのは、間違いなく深川・留萌道の全線開通によるアクセス向上が追い風となった」と分析する。
 地域特産品を販売する「おみやげ処お勝手屋萌道の駅店」では「予想をはるかに上回る売り上げだった」(留萌観光協会職員)という。道内128ヵ所の道の駅では、その道の駅の名前が入ったピンズを販売。ピンズの売り上げが通常月平均1000個程度となるところを、留萌では7月に開業した10日間で1600個、8月には2800個を売り上げた。7~8月累計で4400個となり、道の駅の都市公園を管理する(株)エフエムもえる社長で、山高建設工業(株)の佐藤太紀社長は「留萌の認知度の向上につながっている」と話す。

さらなる整備必要

 少子高齢化が著しい留萌管内の医療と経済を支える上で、必要不可欠となっている深川・留萌道。ただ、南北に長い管内の地域特性を考えたとき、北側の高速道路ネットワークの脆弱性を危惧する関係者は多い。こうした危機感から、留萌地域総合開発期成会は、新規要望として国道40号高規格道路の建設を明記した。天塩町の佐々木裕之町長は、遠別町などから名寄市への救急搬送のほか、農産物の輸送など命や暮らしを守る高速ネットワークの重要性を強調。「実現に向けてしっかりと検討していきたい」と話す。
(連載・特集 2020/12/17付)