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賑わい創出 道民の希望に/北広島でBP開業へ/Local Topics 2020②石狩

2020/12/09付 連載・特集
ローカルトピックス2020_ボールパーク建設地画像
4月に着工式を迎えた新球場。コロナ禍でも感染防止対策に万全を期し、スケジュールどおりに工事を進めている(11月11日現在)
 北海道ボールパークFビレッジ(BP)の2023年3月の開業に向けた動きが加速している。ことし4月13日、北広島市内で行われた「エスコンフィールド北海道」の起工式で、新球場を運営・保有する(株)ファイターズスポーツ&エンターテインメント(FSE)の川村浩二社長は「従来にない観戦スタイルを提供するとともに、新しいエンターテインメントを創造していきたい」と語った。施工を担当する大林組・岩田地崎建設特定JVの竹中秀文工事事務所長は「同じく開閉式の屋根を持つ福岡ドームなどに負けない球場にしたい」と決意を示した。

新球場を核に挑戦

 BP周辺のまちづくりも本格化。10月22日に開かれた第303回道都市計画審議会において、きたひろしま総合運動公園および周辺を市街化区域に編入する方針が示された。21年2月の本審査を経て決定すれば、商業施設をはじめ、まちづくりに資する施設の立地が可能となる。
 FSEは、球場建設地の周辺で企業誘致の準備を進めている。FSEの前沢賢事業統轄本部長は「共に北海道を盛り上げられる企業を誘致したい」と話し、「BPを通じて北海道の魅力を多くの人に伝えていきたい」と意気込む。「公園のように、休日に子どもと遊びに行くような感覚で来てほしい」と、BPの将来像に思いを馳せる。
 野球の本場、アメリカでも「ボストンやシカゴ、アトランタなどで、球場および周辺を含めた開発が行われている」と前沢本部長は話す。
 ボストンの中心街に位置するボストン・レッドソックスの本拠地「フェンウェイパーク」の周辺には、トレンドショップが並ぶショッピングエリアがあり、来場者は野球だけではなく買い物も楽しめる。試合日には周囲の一部の道路が歩行者天国に変わり、賑わいの創出に一役買うなど、球場は街のシンボルになっているという。
 FSEが整備を進めているBPも、「完成すれば、まさに市や本道のシンボルになる」と北広島市の職員は大きな期待を寄せる。現在、ホテルやレストランのほか、温泉施設、キャンプ場などの建設を計画している。海外の球場との相違点として、前沢本部長はキッズエリアの整備方針を挙げる。海外の球場では隅の方に設けられ、デッドスペースとなりがちだが、「BPにおいては中心部に作り、子育て世代や野球ファン以外も楽しめる空間・施設にしたい」と独自性を打ち出す。
 新型コロナウイルスの影響が各所に及ぶ中、球場建設は「遅れることなく進んでいる」(前沢本部長)。施主と施行者は一体となって力強く事業を推進中だ。

アクセス課題解決

 球場建設が順調に進む一方で、BPへのアクセス面での課題解決が急がれている。市はBPの北側を走るJR千歳線北広島~上野幌間に新駅の建設を要望しているが、設計や行政手続きなどを含めた工期として7年程度を見込んでおり、最短でも開業は27年度末に。BP開業後、およそ5年間は北広島駅が最寄りの駅となる。
 JR北海道はことし10月、北広島駅の改修に着手。札幌方面のホーム延伸や自動改札口の移設・増設などを実施し、BP建設後に見込まれる利用者の増加に備える。現駅からBPまではおよそ1.5キロメートル離れており、徒歩だと20分ほどかかるため、市はシャトルバスを運行するほか、通常の路線バスについても試合時間の前後で増便を検討している。
 BP周辺のアクセス路の整備について、市の柴清文BP推進課長は「市道や上下水道などのインフラ整備は、コロナ対策をしながらも予定どおりに進んでいる」と話す。JR新駅から球場にかけては、民有地を再開発する予定だが、「すでに複数の開発コンサルが名乗りを上げている」(市職員)という。

多くの期待を背に

 BP開業に向けた各種整備が加速する中、市民や道民の期待は高まっている。市民の要望に応え、市が10月18日に主催した建設地の見学会には、市内外から約1200人が参加した。参加者からは「野球以外の楽しみ方についても、今後どのように創造していくのか期待している」という声が多く聞かれた。前沢本部長は「多くの人がかかわるプロジェクトを成功させるためにも、責任は重大」と決意を示す。ウィズコロナの時代を迎える中、BPが描く壮大な計画が注目されている。

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