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経済効果・知名度向上に/稚内市 新カーリング場完成/Local Topics 2020⑨宗谷

2020/12/18付 連載・特集
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教育活動での積極的な活用も期待されている

国際基準の施設

 ことし5月、稚内市みどりスポーツパークカーリング場がオープンした。RC造2階2787.92平方メートルを誇り、国際大会基準を満たす施設の完成は、早速、市内初の国際大会となるパシフィックアジアカーリング選手権招致実現の呼び水となった。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で、11月に予定されていた同大会は中止に。一方で、8月の国内カーリング選手権開催および日本カーリング協会の強化指定チームを対象とした合同強化合宿などは無事に開催されるなど、国際水準の競技場として、着実に知名度向上が図られつつある。

様々な世代が利用

 市は当初、多くの施設で構成されるスポーツパークの本年度利用者数を1万4000人と見込んでいた。だが、5月のカーリング場オープンから7ヵ月目の今月10日、目標の1万4000人を突破。さらなる利用者増が期待されている。施設を所管する稚内市教育委員会の表純一教育長は「様々な反響があり、多くの方々が利用していただいているのは大変ありがたい」と、安堵の表情を浮かべる。
 カーリング施設の誕生は、地元高校の教育内容にも影響を与えている。稚内高校(蓮見知之校長)は、本年度から冬の体育授業をスキーからカーリングに切り替えた。生徒たちからも好評を博すとともに、用具の購入を必要としないため、保護者の負担軽減につながるメリットもあるという。

経済活性化を期待

 コロナ禍で人の移動が制限される厳しい状況だが、カーリング施設の完成による地域経済への効果を期待する声は大きい。稚内観光協会の担当者は「スポーツパークは四季を通じて利用できることが利点。夏の観光シーズンは、気温が高い地域からカーリングを求める観光客なども期待できる」と指摘する。冷涼な気温とスポーツを抱き合わせた観光商品の創出につながり、新たな商機を見いだすこともできる。
 サフィールホテル稚内の担当者は、カーリング国際大会開催に合わせて、旅行会社から宿泊に関する問い合わせが相次いだことを上げ、「コロナ終息後に大きな大会があれば、宿泊客の増加につながるのでは」と期待を寄せる。
 来年2月には、稚内市で第38回日本カーリング選手権大会の開催を控えている。稚内カーリング協会の会長を務める(株)富田組の富田伸司社長は「大会の開催が地域の発展に寄与してくれることに期待している」と話す。
 日本カーリング協会の会長を務める錦産業(株)の貝森輝幸会長は「カーリング場は、強化合宿を行ったトップチームからもお墨付き得るほど、いい施設」と胸を張る。「今月末にも、西日本ブロックの協会員による強化合宿が開催され、約60人が稚内市を訪れる。街への経済効果もあるのでは」と述べ、カーリング場整備がもたらす大規模大会開催や合宿招致による効果に期待を膨らませる。

新たなシンボルへ

 新たなカーリング場を利用した、ロコ・ソラーレの藤澤五月選手は「とても良い施設で充実した合宿を過ごせている」と、施設整備に携わった関係者の尽力に感謝の言葉を述べる。「ジュニアの選手たちが練習している姿や、地元の高校生が授業でカーリングをしている姿を見ることができてうれしい」と笑顔をみせる。
 工藤広稚内市長は「老若男女を問わず幅広い世代に愛され、スポーツ宣言都市にふさわしい施設になってほしい」とし、近い将来、カーリング場を含めたみどりスポーツパークが市の新たなシンボルになる姿を思い浮かべる。

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