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継続雇用のみで比較を/役員報酬除外求める声も/賃上げ総合評価で中小建設業
2022/02/03付 DOTSU-NET NEWS
政府による賃上げを表明した企業を対象に総合評価落札方式で加点する制度に対し、建設企業から各種の要望が寄せられている。賃上げの趣旨に賛同しつつも、中小企業からは「年収の多い職員が退職した場合、例え新規採用を行っても、退職者の分まで補うのが難しい。継続雇用職員のみの給与総額で比較してほしい」といった切実な声や「給与の対象から役員報酬を除く方が、賃上げ促進税制との整合が図られるのでは」との意見も。こうした声にどのように応えていくのか、今後の動向が注目されている。政府は、4月1日以降契約分の公共調達において、賃上げを表明した企業に対し、総合評価落札方式で加点する制度を打ち出した。
大企業3%以上、中小企業で1.5%以上の賃上げを表明した場合、総合評価落札方式の加算点全体の5%以上を加点する。
賃上げ実績の確認は、大企業の場合、給与等受給者一人当たりの平均受給額で比較する。一方で、中小企業は、年度の場合、法人事業概況説明書の労務費、役員報酬、従業員給料の合計額、暦年は給与所得の源泉徴収票合計表の俸給、給与、賞与等の総額における支払金額欄を人員で除した金額で比較することなどを示した。
これらの書類で賃上げ実績が確認できない場合であっても、税理士、公認会計士など第三者により、同等の賃上げ実績を確認できると認められた書類が事業者から提出された場合、代替できることとしている。
一方で、中小企業からは「年収の多いベテラン職員が退職し、新規採用を行ったとしても、引き上げをカバーできる分を補うのは非常に難しい」との声が。例えば、2022年度に年収1000万円の職員A、年収500万円の職員B~Eの4人の合計5人が在籍していた場合、給与総額は3000万円となる。
翌年度までに職員Aが退職し、年収300万円の新規職員Fを雇用し、職員B~Eの給与を3%引き上げたとしても、2360万円で21.3%の減額となってしまう。一方で、継続雇用している職員B~Eのみを比較すると、3%の賃金引上げとなり、条件をクリアできる。このため、「継続雇用職員のみの給与総額で比較してほしい」といった切実な声が寄せられている。
さらに、賃上げ促進税制では、引き上げ対象に役員報酬が除かれていることから「税制と整合を図ることも重要なのでは」と指摘する声も。除雪など自然条件により、年度によって稼働率が大きく異なる労働者に関する取扱いなど、単純な総額で賃上げを確認できないケースもある。現在、全国各地で業界団体を対象に説明会も開催されており、質問・要望・意見が集約されつつある。こうした声にどのように応えていくのか、動向が注目される。
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