継続雇用の評価も可能／役員報酬・超過勤務除外も／財務・国交省 賃上げ総合評価運用

　財務省、国土交通省は８日、総合評価落札方式における賃上げ加点の運用に関する事務連絡文書を通知した。各企業の実情を踏まえ、継続雇用している従業員のみの基本給や所定内賃金等で評価することも可能に。役員報酬が含まれることで従業員の賃金実態を適切に反映できない場合は、役員報酬を除いたもので評価する。災害対応など自ら制御できない年変動がある場合、超過勤務や一次雇用を除いたもので給与総額等を評価する。各企業に対しては、賃上げの趣旨を踏まえ、「真摯な対応を期待する」としている。

　運用は、各業界団体からの要望を踏まえたもの。賃金引上げの確認方法で中小企業等は、実情に応じて給与総額または一人当たりの平均受給額のいずれかを評価できるようにした。ベテラン従業員等が退職し、新卒採用等で雇用を確保することで給与総額が減少する場合は、継続雇用している給与等受給者への支給額で給与総額等を評価する。さらに、定年退職者の再雇用、育児休暇、介護休暇の取得者など給与水準が変わる従業員等を除いて給与総額を評価する。
　賃上げ実績確認に用いる主要科目に外注や派遣社員の一時的な雇い入れによる労務費と、退職給付引当金繰入額など実際に従業員に支払われた給与でないものも除くことを示した。
　所定の書類により、賃上げ実績が確認できない場合であっても、税理士、公認会計士等の第三者により同等の賃上げ実績を確認することができると認められる評価内容の記載例も例示。
　「評価対象年度においては、〇人の従業員が退職する一方で、〇人の新卒採用者を雇用することになり、給与支給総額が〇％増加にとどまったものの、継続雇用している〇人の給与支給総額は〇％増加していたため、表明書と同等の賃上げを実行したものと認めた」「評価対象の前事業年度は災害時の応急対策に従事すること等による超過勤務手当が多く発生したが、評価対象年度においてはその対応がなかったため、超過勤務手当は〇％減と大きく減少した。これらの要因により、給与支給総額は〇％増額にとどまったものの、基本給総額は〇％増加していたため、表明書と同等の賃上げを実行したものと認めた」などと示した。
　賃上げについて各企業は、対象期間を事業年度単位または暦年単位で選択できるが、それらを変えることによって前年度等に加点を受けるために表明した期間と重ならないようにすることを求める。