衛星ＳＡＲデータ活用／２２９号乙部町館浦対象に試行／開発局 自然斜面の解析で

　開発局は、国土技術政策総合研究所（国総研）と連携し、道路の被災個所において、衛星ＳＡＲデータによる解析を行う。岩盤が崩壊した２２９号乙部町館浦の自然斜面を対象に時系列による解析を実施。衛星ＳＡＲデータは宇宙航空研究開発機構（＝ＪＡＸＡ）から提供を受けたものを活用する。

　ＳＡＲ衛星は、電磁波を地表に向けて照射し跳ね返ってきた電磁波を受信・解析することで地表の状態を映像化するもの。一般的な人工衛星と異なり地表に太陽の光が当たっていない夜間や悪天候においても２４時間観測が可能で、人工物または自然物かなど観測対象の材質も識別できる。常に同じ条件下で太陽光の影響を受けずに定点観測を続けることができることから、対象物の細やかな変化を捉えることができるとされている。
　開発局は、道路の被災個所および前後個所の変状などの経時変化履歴を求め、道路構造物の維持管理の効率化を図ることを目的に衛星ＳＡＲデータを活用した分析を検討するとした。
　解析範囲は岩盤崩落が発生した２２９号乙部町館浦地区の自然斜面およびその前後区間２０００メートル１ヵ所で、２０１６年７月から２１年６月を期間とする。衛星ＳＡＲデータは国総研とＪＡＸＡとの協定に基づく取得可能なデータを活用。時系列で解析し累積月平均変位量を算出したのち、自然斜面の主側線方向における水平、鉛直変位を合成。より詳細な累積平均変位量を評価する。こうしたデータに基づき、岩盤崩落の予兆となった変位が見られるかなどを分析する。