トップページ > DOTSU-NET NEWS一覧 > DOTSU-NET NEWS詳細

賃上げ実現へ 適切な単価設定を/ラピダス進出など巨額投資で/全建と国交省 地域懇談会

2023/10/30付 DOTSU-NET NEWS
 全国建設業協会(奥村太加典会長)と国土交通省の2023年度地域懇談会が27日、ホテル札幌ガーデンパレスで開かれた。北海道建設業協会(岩田圭剛会長)は、ラピダス社による次世代半導体製造拠点建設や札幌駅周辺の再開発事業など巨額投資案件に関わって、賃金上昇などによって工事の利益率低下を招く恐れがあるとして、賃上げの実現に向けては公共工事においても、地域の実情に合ったより適切な単価設定などの制度運用の必要性を訴えた。

 懇談会には道建協と傘下の各地方建協会長、全建幹部、国交省・開発局幹部ら約40人が参加した。
 あいさつに立った道建協の岩田会長は、道内建設業を取り巻く課題やその解決のためにあらゆる施策に取り組むなどとした上で「住民生活の向上や経済の発展を支える社会資本整備の維持・管理の担い手として、災害現場の最前線で活動するという社会的使命を負う守り手として、将来にわたってその役割を果たしていく必要がある」などと述べ、有意義な懇談会となるよう期待を寄せた。
 国交省の楠田幹人大臣官房審議官(不動産・建設経済)は、現下の最大の課題は担い手の確保とし、建設業が多大な役割を果たしていくためには「他産業との人材獲得競争に打ち勝っていかなければならない。課題は山積しているが、他産業に見劣りしない職場づくりへのチャンス」と捉え、共に取り組んでいくことの重要性を訴えた。
 森下博之大臣官房参事官(イノベーション)は、週休2日工事の推進状況に触れた上で「工期全体を通した平均値から月単位へと、週休2日工事の質の向上が必要になってくる」として取組の強化に向けて理解と協力を呼びかけた。
 開発局の柿崎恒美局長は「建設業は地域の守り手であり、欠くことのできないパートナー」と述べ、山積する課題に総力を挙げて各種施策に取り組んでいくことを強調した。
 全建の奥村会長は「工期に関する基準」に沿った見積もりを行う「適正工期見積もり運動」を9月から開始したことに言及。「発注者の理解を得ながら適正な工期のもとで働き方改革が進められるよう、業界が一丸となった取組が重要」との考えを示した。
 議題は①公共事業の推進とその円滑な施工②改正労働基準法と働き方改革、生産性の向上③賃上げとCCUS、外国人労働者④「地域の守り手」としての地域建設業とその広報、その他―の4つ。
 道建協は①について、国土強靱化実施中期計画を早期に策定し継続的・安定的に予算を確保するとともに、必要な予算は当初予算で確保しつつ必要額を別枠とすること、資材等価格高騰を踏まえスライド条項の弾力的運用や1%条項の廃止、設計単価が変更となった時点で全額を設計変更とする対応、実際の資材納入時の単価を設計に反映するなど適切に転嫁されるよう対応することを求めた。
 また市町村に対して、歩切りの廃止や週休2日制に対応した工期設定、適切な設計変更など、品確法運用指針の徹底とともに、市町村における対応の見える化を引き続き実施するよう訴えた。
 ②について、適正な積算価格と工期設定、工期の平準化、書類の簡素化、ウェブを利用した現場確認や会議の実施、プレキャストの活用拡大などのさらなる取組を要請。週休2日制工事の普及に向けては、日給月給の多い技能労働者が減収にならないよう補正係数の引き上げが必要なこと、市町村発注工事では浸透していないことなどを指摘した。
 また適正な工期設定に関して、市町村や民間発注者に対し中央建設業審議会勧告「工期に関する基準」の準用を強く要請するよう訴えた。
 ③について、若者が建設業に魅力を感じて入職してもらえるよう設計労務単価の引き上げが必須との考えを強調。このほか賃上げを行うためには適正利潤の確保が必要として、現場管理費や一般管理費ならびに調査基準価格の一層の引き上げを検討するよう求めた。
 またラピダス社や札幌駅周辺の再開発事業など巨額投資案件では、賃金上昇などによって工事の利益率低下を招く恐れがあるとして、公共工事においても地域の事情に合ったより適時・適切な単価設定などの制度運用が必要となることに言及した。
 ④について、災害対応では「自衛隊や警察、消防」と「建設業」の報道格差が大きく、昼夜を徹した懸命な作業が広く一般に周知されていないとして、発信した情報がどのように取り上げられているかなどを検証し今後の広報活動に活用する仕組みの必要性を示唆。建設業の魅力を高校生や保護者らにPRする地道な努力とともに、IT化や女性活躍、ゼロカーボンへの取組などを行政機関と連携して情報発信していくことが不可欠とした。

その他のDOTSU-NET NEWS 一覧

ラピダス関連整備 補正予算で計上か/本道への重点配分に期待/政府 インフラ整備推進交付金

2023-10-27付 DOTSU-NET NEWS

 政府は、次世代半導体などの生産拠点の関連インフラ整備を支援するため、自治体を対象とした「仮称・地域産業構造転換インフラ整備推進交付金」を創設する方針を固めたが、本道への重点的な予算配分に期待が寄せられている。本道ではラピダス社による次世代...

全閉所工事は73%に/1191件対象 帯広開建88%/土曜閉所の取組状況〈4~7月〉 - 開発局

2023-10-27付 DOTSU-NET NEWS

 開発局は、年間を通じた土曜閉所の2023年度4~7月における取組状況をまとめた。対象工事1191件に対し、全ての土曜日を閉所した工事件数の割合は73%。開建別の達成状況をみると、帯広が最も高い88%を記録したほか、留萌が81%、網走が80...

「緩和+年齢評価」拡大視野/チャレンジなど新たな仕組み検討/開発局 技術者育成型の方針案

2023-10-26付 DOTSU-NET NEWS

 開発局は、所管発注工事における総合評価落札方式で、技術者育成型の今後の対応について検討を加速させる。技術者の確保・育成が依然として課題となる中、その解決に資する取組をより効果的なものとするため、各試行タイプによる受注傾向と対応方針案を整理...

前年度実績1.3倍237件/経験企業は35社増181社に/開発局 BIM/CIM工事等 - 23年度上期

2023-10-26付 DOTSU-NET NEWS

 開発局は、2023年度9月末時点におけるBIM/CIM業務・工事の実施状況をまとめた。実施件数は237件で、22年度実績と比較して約1.3倍増加。内訳は、工事が125件、設計が107件、測量が5件となっている。経験企業数は35社増の181...

中山組 8.2億で首位/本紙集計 総数467社、577億/振興局農業 上期工事業者別実績

2023-10-25付 DOTSU-NET NEWS

 道の振興局産業振興部が発注した農業農村整備事業の2023年度上期工事業者別受注実績が、本紙集計でまとまった。5件、8億2150万円を受注した(株)中山組(札幌)が首位に立ち、2位に4件で7億7200万円のこぶし建設(株)(岩見沢)、3位に...

活用率66.2%に上昇/延べ件数は212件増4217件/開発局 22年度新技術活用実績

2023-10-25付 DOTSU-NET NEWS

 開発局は、2022年度の新技術活用実績をまとめた。総工事件数1794件のうち新技術を活用した工事は1188件。新技術活用率は前年度と比べ18.9ポイント上昇し66.2%となった。延べ技術数は212件増加し4217件に上った。新技術活用上位...

首位 伊藤組土建26億/本紙集計 3億以上は93社/建管発注工事 上期業者別受注実績

2023-10-24付 DOTSU-NET NEWS

 全道10建管の2023年度上期工事業者別受注実績が、本紙集計でまとまった。首位は、4件、26億3549万円を受注した伊藤組土建(株)(札幌)。2位以下は、9件、15億109万円の松谷建設(株)(北見)、4件、12億4093万円の宮坂建設工...

先達の偉業たたえ未来へ/十勝川治水促進期成会等/十勝川治水100年記念式典

2023-10-24付 DOTSU-NET NEWS

 【帯広発】十勝川治水促進期成会(会長・米沢則寿帯広市長)、十勝総合振興局、帯広開建は21日、帯広市総合体育館「よつ葉アリーナ十勝」で十勝川治水100年記念式典および記念シンポジウムを開催した。うち記念式典には関係者ら約170人が出席。これ...