効果的な組合せ試行へ／複数年契約は実態把握し改善／維持管理の入契方式で議論 － 発注者責任懇維持管理部会

　国土交通省は２２日、東京都内で発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会維持管理部会を開催した。維持管理における現行の入札契約方式を整理した上で、選定フロー案を作成。地域や現場の課題を踏まえた方式を選択し、それぞれの目的・効果を考慮しながら効果的な組み合わせに取り組む方向性を示した。今後、直轄工事で試行を進める。維持工事での複数年契約の働き方の課題も共有。まずは実態の運用を把握し、必要な検討を加速させていくことを確認した。

　今回の会合では、維持管理部会におけるこれまでの議論を確認したあと①効果的な入札・契約方式の選定②複数年工事の課題と今後の積算等の改善方策―について議論した。
　①では、現行の長期性能保証、性能規定方式、ＥＣＩ（技術提案・交渉方式）、設計工事連携型、地域維持型ＪＶ、事業協同組合、参加者確認型随契、フレームワーク方式の適用状況等を確認。これまでの試行による効果も確認した上で、新たに選定フロー案を示した。
　今後、入札契約の方法や目的・効果に応じ、効果的な組み合わせに取り組む。試行については、直轄工事で進める。
　②においては、維持工事におけるヒアリング結果を踏まえ、費用面の課題に対しては「これまで以上に実態把握（現場で作業する作業員の作業時間・作業員に支払われる賃金を含む）を行い、各工事で必要な人工や労働条件の実態等をきめ細かに確認する必要があるのではないか」「官積算の工事価格と各社の実行予算との乖離の状況を確認した上で、積算基準の改善点がないか検討すべきでは」との意見が上がった。
　監理技術者の拘束の解消に向けては「監理技術者制度運用マニュアルに沿って、適切な施工の実施と監理技術者の適切な休息等の確保が可能となるような必要な検討を進める」と説明。特記仕様書において、監理技術者の職務内容の範囲を明示することなどの可能性についても検討するとした。
　このほか、道路除雪工における積算方法の改善について報告。2021年度から開始した小雪時における道路除雪工の固定的経費の計上に関し、開発局を中心に全国で試行されている情報を共有し「早急に対応が必要な問題点は生じていない」とした上で、引き続き試行を実施しフォローアップしながら積算方法の改善を検討していくとした。