昨年の結果と今後の展望/週休2日制の取組/草野作工(株)草野貴友社長に聞く
2018/05/15付 連載・特集
道路の1現場では完全週休2日達成
―昨年度、独自に週休2日制に取り組まれた結果をこのたび、報告書にまとめられましたが、課題等お聞かせください課題どころか、発注者である開発局から千載一遇の好機をいただいたことと思っている。しかしながら強いて挙げると、週休2日制だと認識している現場代理人や監理技術者に「何がなんでも工期内で納めなければ」という意識が働き、残業が増えるケースがあったこと。
担当者も初めて取り組む週休2日制をあまりにも意識し過ぎ「前もってやっておかなければ」という焦りが働いたためだと考える。けれど終わってみれば、どの現場も工期に余裕をもって終えることができた。
昨年、我社が独自に取り組んだのは開発局発注の道路2現場、河川2現場の計4現場。道路はいずれも道央圏連絡道路で、1現場は土日をすべて休日とする完全週休2日制を達成し、もう1現場も振替休日がわずか2日あるのみで、ほぼ達成することができた。
発注者側で天災・ゲリラ豪雨などの突発性の特殊な事情で仕事を中断した場合に、工期を延長するという柔軟な対応をしていただければまったく問題なく週休2日制に取り組むことができると思う。
―本年度、すでに受注している工事について、昨年度の経験をどのように生かしていくお考えか
昨年度完全週休2日を達成した道央圏連絡道路は本年度も受注したが、現場代理人も一度経験しているから、昨年少ない現場で22日、多い現場で85日間の余裕を残した工期をぎりぎりまで使えば完全週休2日制を達成し、残業もなくなり働き方改革に沿った週休2日制を達成できる。
土を運搬する仕事など、工種によってはどうしても天候に影響され、土・日を完全に休日にすることが難しいものもあると思うが、天気予報をもとに次週の振替休日を決めることで、作業員も休日の予定を立てることができる。
当社の現場代理人は、昨年の経験値から間違いなく達成できるという自信がある。週休2日制にしようがしまいが、現場の実稼働日数は変わらないので、工期に関しての不安はまったくない。
社内の福利厚生と就業規則を見直し
―社内の福利厚生など、就業規則をかなり見直したようですね当社はことし4月10日で満65周年を迎えたが、昨年の(数え)65周年を機に、働き方改革の命題のもと、会社の福利厚生を大幅に見直した。まずは配偶者手当の支給制限を排除し、男女問わず対象者すべてに支給する処遇改善を実施。さらに毎年、3ヵ所から選べる家族同伴可の社内旅行を福利厚生と家族サービスの両面から実施した。
週休2日制も65周年をきっかけとして取り組んだ一つ。就業規則に明記し、前向きに邁進出来る環境をつくった。
下請企業等の取引先は、日給月給制がほとんどで、土曜日を休日にした分、彼らの賃金が下がるという問題があったが、週休2日制に対応した見積りを徴収し、休んでも1日分の賃金を支給することにした。
ノー残業デーに加えて、フレックスフライデーの運用も開始した。本社事務部門で始業・終業時間を2交代制にして、職員が自由に選択できるようにした。
遅刻と早退も廃止し、時間休を取る形に変更した。そうすることで、時間に追われて慌てることなく、余裕をもって落ち着いた行動をとることができるようになった。
賞与支給にあたっての職員の評価方法についても、評価者には「評価で悩んだときには、プラス評価はする、マイナス評価はしない」と周知させている。
―本年度から週休2日制に取り組む業界他社へのアドバイスがあれば
まずは社内の就業規則に週休2日とする旨を明記するべき。また、北海道建設業協会傘下の地方建協の会員においては、少なくとも「入社3年以内の職員は、土・日休暇」と定め、実行してほしい。そうすることが、週休2日制の定着に向けた第一歩かと思うし、そうしなければ若年労働者の獲得にもつながらないと考える。最後に業界全体のイメージアップにつなげる努力を惜しまないことである。
完全達成企業にはインセンティブを
―発注者に対して望むことは週休2日制を達成出来た工事には工事評価点の加点、経費の補正をしていただけることは大変ありがたいこと。週休2日制の実施に向けては入札時のインセンティブが必要かと思う。例えば「就業規則に事務職、技術職とも週休2日制を定めた企業」には、入札時に加点評価するのも一考かと思う。
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