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農業工事特有の工期に対応/北海地区北海幹線用水路清真布川下流工区/週休2日の現場から Report2 ― (株)中山組 ―

2018/11/28付 連載・特集
佐藤代理人画像
「人員を確保し、作業効率を高めることが重要」と話す佐藤代理人
 「北海地区北海幹線用水路清真布川下流工区」(札幌開建発注)を施工する(株)中山組(札幌)の佐藤聡也現場所長。米の収穫期を避け、実質工期が半年程度に限られる農業農村整備において、週休2日を達成するための工程管理に力を注いでいる。
 新たなチャレンジを前に「まずは関係者全員の意識改革に努めた」と語る佐藤氏。「週休2日を確保するために、平日残業が増えたのでは意味がない」とし、労働時間の短縮に向けて、下請業者などとのきめ細かな打ち合わせを連日繰り返しているという。
 本工事では、国営かんがい排水事業北海地区の事業計画に基づき、延長約980メートルに及ぶ用水路を整備。2019年3月26日の完成に向けて、開渠工やカルバート工、水路付帯工などを進めている。

通常の倍の人員投入 2班体制で施工推進

 通常の同種工事よりも施工延長が長いことを踏まえ、2班を編成。会社のバックアップのもと、通常の倍近い人員を投入しており、作業スピードを上げることで週休2日の達成を目指している。
 施工延長を半分に分割し、それぞれの工区に20人程度を配置。2班体制を維持するため、同社が請け負う近隣の現場と作業員の配置に関して調整することもあるという。農業農村整備特有の限られた工期で週休2日を達成するためには「人員確保を含め、適切に工程を管理することが不可欠」と佐藤氏は強調する。
 降雪期が迫る中、10月の休日は週1回にとどまっている。本工事への着手が秋口となる農業農村整備では、9月上旬から11月下旬にかけて工事進捗率を高めなければならず、当面は週1回の休日がベースとなる見通しだ。
 「工期に限りがあり、受益者との調整を要する農業農村整備の特性を踏まえると、トータルで4週8休を確保することが現実路線」と佐藤氏。本工事を開始する前に十分な休日を取得することで、休日の数を調整しているという。「当初から、全体を通して4週8休を確保できるよう無理のない工程を作成している」とし、降雨などにより休工を強いられた日は、振替閉所などで対応している。
 国土交通省は、本年度からの5ヵ年で4週8休の100%達成を目指すアクションプログラムを作成。佐藤氏は目標の達成に向けて、発注者や企業のバックアップ体制の構築が不可欠と考えている。
 佐藤氏は、自身の経験から「発注時期の適正化や工事書類の簡素化、下請け作業員の月給制への移行などが求められている」とし、労働環境の一層の改善が重要と説く。「週休2日は代表的な施策。業界のイメージをアップし、担い手を確保していくためにも、関係者が一丸となって取り組んでいかなければならない」と実感している。

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用水路改修の様子
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