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後志道余市~小樽間が開通/小樽新市長 円滑な市政に期待の声/LOCAL TOPICS 2018 ④後志

2019/01/08付 連載・特集
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後志道余市IC~小樽JCT間が8日に開通。北後志発展への寄与に期待がかかる

様々な波及効果

 後志道余市IC~小樽JCT間23.3キロメートルが今月8日に開通した。同区間は、2006年3月に国から事業認可を受け、12年に本線工事に着手。事業認可から12年の歳月をかけて完成した。開通を心待ちにしていた沿線自治体、地元商工会関係者は、整備効果に期待を寄せている。
 余市~小樽間の開通により、札幌市中心部から余市町までの所要時間は19分短縮し、約55分と1時間を切った。所要時間の短縮を心待ちにしていたのは、救急医療現場に携わる人々だ。
 2次・3次医療施設のない仁木町で救急搬送を担当する北後志消防組合仁木支署の米田茂樹署長は「年間の救急出動の約260件のうち、60件が小樽市や札幌市への搬送となっている」とし「今回の開通は、命にかかわることだけに救急医療の面から大変メリットがある」と強調する。
 一方で、産業面の効果に期待する声も。仁木町のミニトマトの出荷数は、年間3890トンで全道1位を誇り、その9割は道外に出荷している。新おたる農協の担当者は「苫小牧港から道外に出荷されている。新鮮なうちに道外に出荷できることは、ブランドの価値向上にもつながるのでは」と期待する。
 日本海に面した後志管内は、ウニなどの海産物も産業の中心を担う。東しゃこたん漁業協同組合の担当者は「新千歳空港を経由して空輸するときに、時間に余裕をもって出荷できる」と話す。
 余市~小樽間の開通を受け、余市商工会議所の中山尚志会頭は「北後志管内における産業、経済、観光、地域住民の福祉の向上に大きく寄与することに期待したい」と話している。

除雪体制を強化

 ことし8月、迫俊哉小樽新市長が誕生した。前市長時代に混乱を招いた除排雪をはじめ、円滑な市政運営に期待する声が寄せられる。
 小樽市内は、急峻な地形により、冬期には雪捨場の確保も難しい状況。前市長時代、コスト抑制の観点から、排雪を見通しの悪い交差点に限定するなどして除雪費用を抑制した。しかし、市民からは不満が続出。市役所には昨年度、除排雪に関する市民からの要望が2535件寄せられ、そのうち約3割が排雪依頼で、過去5ヵ年で最も多い状況となっていた。
 迫市長就任後初の議会となった3定市議会では、除排雪費用として9億660万円を追加する補正予算案を上程した。さらに、市民から「雪対策1課と2課があり、対応窓口が分かりにくい」と不評だった市役所の除雪担当窓口も、建設事業室として統合。矢継ぎ早に施策を打ち出した。
 当初予算を含めた除排雪費は総額15億4990万円となり、計画排雪量を増加。前年度までの34万立方メートルから、過去5年の平均実績を踏まえた約50万立方メートルに変更した。主要交差点等の見通しの確保強化として、これまでの50ヵ所から90ヵ所に範囲を拡大する。
 さらに、観光地の除雪を強化。これまでの小樽駅前の市道中央通線をはじめ浅草通線、大通線、本通線の4路線に加え、新たに小樽観光のメインストリートでもある堺町通り(本通第2線)を追加する。
 こうした政策に対し、市民は「大変期待がもてる」と評価。小樽観光協会の担当者は「堺町通りは、小樽市でも有数の観光名所。毎年、除雪が入らないことで、観光客などから不便に感じるという声が寄せられた。今回、除雪を行ってもらうのは大変ありがたい。観光客の呼び込みにもつながる」と期待する。
 小樽市の除排雪を担う小樽市除雪業務共同企業体連絡協議会の佐藤慶一会長(近藤工業(株)社長)は11月26日の安全祈願祭で「この3年間はいろいろあったが、市民の安心・安全な生活を支えるという役割をしっかりと努めていきたい」と力強く語っていた。

港湾計画見直しも

 活用方策をめぐり、前市長と産業界で対立し、休止していた小樽港の港湾計画についても動きが。迫市長は、小樽港を物流・観光・防災機能を携えた港にするとし、港湾計画作成の再開に言及し、年度内にも方向性を示すこととしている。小樽の商工会関係者は「観光面も含め、市の発展につながる計画になることに期待したい」と話している。

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