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“世界の後志”目指し施策展開/建設業の週休2日実現へ/新任開建部長リレーインタビュー①<小樽> 橋本 幸 氏

2018/05/21付 連載・特集
橋本幸氏画像
はしもと・こう
 平成4年北大院修、同年道開発庁に入庁。27年北海道局企画調整官、28年開発局道路建設課長、29年開発局道路計画課長。ことし4月現職。
 昭和39年10月15日生まれ、53歳。当別町出身。
 食と観光を戦略的産業に、“世界の北海道”実現を目指すとした第8期北海道総合開発計画は、策定から3年目を迎えた。農林水産業・観光等を担う生産空間を支えるための施策が展開されている。一方で、建設業においては、政府の働き方改革の方針を踏まえ、週休2日をはじめとした取組が本格化している。こうした中、ことし4月には、小樽、帯広、留萌の3開建で部長が交代。新任の抱負や主要事業などについて聞いた。

―新任の抱負・管内の印象について

 27、28年度に北海道局参事官室に在籍し、今期の北海道総合開発計画の策定に携わった。
 今回の計画は、北海道総合開発計画の策定史の中で、初めて日本の人口減少局面の中で策定する計画。人口減少は全国的な課題であるが、とりわけ北海道にとって極めて重要な問題という認識から策定作業はスタートした。
 北海道の強みは「食」と「観光」にあり、一部は既に世界と戦える水準にあるが、これらはいずれも北海道のいわゆる「地方部」で生み出されている。人口減少はまさにそれら地方部から進行し、地方部が失われることは、すなわち北海道の価値そのものが失われることを意味するからである。
 この特別な地域を単に地方部と呼ぶにはふさわしくなく、「食」を文字どおり生産するとともに、豊かな景観等の観光資源を併せて生み出している点に着目して「生産空間」と名付けた。
 生産空間を維持・発展させることで「世界の北海道」を目指すこと。これが本計画の主眼である。
 後志は、食も観光も北海道の中で際立った特質をもっている。
 前者の食は、米、畑、果物、畜産、漁業とフルセットがそろい、北海道の縮図と言える。蘭越町の米、余市のワイン、マッサンでおなじみのニッカウヰスキーなどのブランド化にも成功している。
 観光についてはいまさら説明するまでもないが、パウダースノーをはじめとした天からの贈り物としての観光資源をもつ。
 そういった意味で後志は「世界の北海道」の中で一番近い地域だという印象を持っている。「世界の後志」を目指し、様々な施策や事業を展開してまいりたい。

―主要事業について

 河川は、引き続き洪水対策として、尻別川豊国地区において河道掘削を行い洪水被害の軽減を図っていく。管内には港湾3ヵ所、漁港4ヵ所を所管している。とりわけ主要施設となるのが小樽港と石狩湾新港。小樽はクルーズ船、石狩は企業の張り付きが好調。337号の道路整備とも密接な関係にあり、今後も鋭意整備を進めていく。
 農業は、農地再編整備事業が一巡。企業努力もあると思うが、余市のワインや蘭越町、共和町で作っている米の品質に国営事業が寄与していると自負している。老朽化した施設を着実かつ確実に整備を進めていく。
 道路では、倶知安余市道路の整備を推進していく。全体の道路予算が厳しい中で、一刻も早くという思い。今は農園などの貴重な土地の取得を重点に進めている。協力していただいた方々には、本当に感謝の念に絶えない。ここのところを一生懸命していきたい。

―建設業の喫緊の課題である働き方改革や担い手対策について

 業態こそ違うが、役所の組織内で人事や新規採用などに長く携わってきた経験から、人材を確保していく難しさは共通して感じている。昨今は傾向として、転勤や長時間労働を好まず、自身のプライベートな時間を確保することに重きを置いている若い人が多い。
 本局の道路建設課長時代に道内の各建協を回った後、どの地域からも人出不足で大変という話を聞かせていただいた。最近の金融機関の調査で、建設業と観光業が最も人材確保が厳しいという報道もあった。
 「働き方改革」というスローガンだけで改善が望めるはずもなく、具体的な就労環境の改善を行わないと担い手が確保できないことは明らか。「週に2日休める」という世の中で当たり前のことを建設業でも実現すべく、発注者側としても効果的かつ建設業の実態も踏まえた対策に当たってまいりたい。

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