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インフラ起爆剤に地域活性化/官民連携で働き方改革実現/新任開建部長リレーインタビュー③<留萌> 船木 淳悟 氏

2018/05/23付 連載・特集
船木淳悟氏画像
 ふなき・じゅんご
 昭和60年北大卒。平成25年開発局河川工事課長、28年土木研究所寒地土木研究所寒地水圏研究グループ長を経て、ことし4月現職。
 昭和36年8月14日生まれ、56歳。青森県出身。

―管内の印象について

 留萌開建は初めての勤務だが、自宅がある滝川市から近くなじみが深い地域。タコ、甘エビ、シジミやニシン加工品などの水産物ばかりでなく、和牛やサフォーク羊といった食肉、リンゴなどの果樹、全道最高金賞を受賞した留萌地区産「ゆめぴりか」など、魅力的な食の資源にあふれている。
 海岸線と離島が生み出す日本海オロロンラインの美しい景観も素晴らしい。一方で、昨年留萌港防波堤の灯台が倒壊したように、冬期の厳しい気象環境は、地域の生活や産業の発展等において大変なハンディキャップとなっていると感じている。

―新任の抱負について

 着任してまず意識したことは、地域のよさや可能性を理解すること。留萌管内の「食」や「観光」資源は、赴任して初めて知ったものも多く、逆に言えば、まだ管外の方々の認知度が高くないということ。第8期北海道総合開発計画の柱である「食」「観光」を振興し、留萌管内の魅力を高めていく上で、現在整備を進めているインフラの役割は大きい。
 食の基盤を担う農地整備や漁港施設の改修は、生産性や品質の向上だけでなく、働く環境の改善に寄与することで、次代の担い手確保にもつながっていく。また、31年度中に予定されている深川・留萌道の全線開通によって、道央圏とのネットワークがさらに充実する。こうしたインフラを起爆剤として、地域の活性化や新たな観光客の創出に向けて、地元を始め北海道や隣接する開建等の関係機関と連携して知恵を出していきたい。
 日本海に沿って南北に長い留萌管内において、市町村間を連絡する広域交通は、沿岸部を縦貫する231号と232号の1本のラインに依存している。越波や地吹雪に伴う通行止めによる集落、自治体の孤立や広域物流の分断の緩和、解消に向け、沿岸部と内陸部とをつなぐ国道の防災事業とともに着実に整備を進めていきたい。
 また、昭和63年に発生した留萌川の洪水災害から30年の節目を迎えることから、改めて水防災意識を高めるための取組が必要と考えている。

―本年度の主要事業について

 治水事業では、留萌川河口部導流堤の改築を進めるとともに、天塩川下流で堤防整備や河道掘削を行う。また、越水時の堤防強化のため堤防天端保護等の危機管理型ハード対策を両河川で実施する。
 道路事業では、深川・留萌自動車道の整備を促進するとともに、40号の天塩防災、239号の霧立防災事業を推進する。また、232号高砂橋の架替工事に着手する。
 港湾整備事業では、重要港湾である留萌港の南防波堤改良を促進するほか、羽幌港、天塩港の静穏度対策の防波堤整備を進める。また、増毛港の屋根付き岸壁の整備に着手する。水産基盤整備事業では、苫前漁港のイカ釣り外来船受け入れ態勢強化のための岸壁等の整備や、遠別漁港の老朽化した船揚場の移設整備を行う。
 農業農村整備事業では、泥炭土壌で地盤沈下が進行する天塩町産士地区の農地防災事業として、置土や排水路等の整備を行うほか、同町更岸地区の老朽化した排水路の改修や苫前ダムの操作管理設備の改修を行う。

―建設業界に期待すること

 北海道総合開発計画を具現化し、地域の発展や安全安心な暮らしを確保するための事業の担い手として、とりわけ地域に根をおろし地域の状況に精通している地元建設業の皆さん抜きには、開発事業は成り立たない。働き方改革の実践を通して、建設産業全体がよりよい方向に向かっていけるよう、官民が協力して取り組んでいきたい。
(連載終わり)

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