受発注者協力し働き方改革を/にぎわい創出の視点で道住整備/新任インタビュー<2018>② 北海道建設部建築企画監 平向 邦夫氏
2018/06/20付 連載・特集
ことし4月、平向邦夫氏が道建設部建築企画監に就任した。道議会庁舎改築や札幌医科大学施設整備など、大規模公共建築事業が着実に進む一方で、民間大規模建築物の耐震化や、国の働き方改革関連法案の衆院通過など、取り組むべき課題も山積している。本道全体の空き家対策や今後の公営住宅の在り方など、住宅・営繕行政にかける思いを聞いた。―就任の抱負について
前職の住宅局長の経験を踏まえ、働き方改革に向けて管理職全員で取り組みたい。道庁勤務の職員において、極度の超過勤務となっているものは減少しており、ことしこそ解消していきたい。また、休暇をできるだけ取得できる環境を整えていきたい。あらかじめ休暇を取る順番を決めるなど最善策を模索し、個々が能力やパフォーマンスを発揮できる環境にしたいと思っている。ただ、事業の受注者には土日問わず稼働している現場があることを忘れてはならない。発注者の我々だけが業務改革、働き方改革と、一方的に働きやすい環境に変えるのではなく、現場の週休2日制導入を阻害しないように、受注者と2人3脚で進めていきたい。難しい課題だが、時代の流れをくみ取り、互いにコミュニケーションを図ることができる場をつくることで解決していきたい。
事業予算は国民から預かっている税金という認識のもと、若い職員の意見も参考にしながら、本道が豊かになるように努めていきたい。
―住宅、営繕行政の課題認識について
住宅に関しては、世帯数減少の中で増加している空き家をどう活用するかが問題だ。国は空き家問題の解消策として、セーフティーネット法改正や住宅宿泊事業法施行などの施策を講じている。一方で、地方ではまちの障害となる空き家は、活路を見いだせずに解体するしかない場合もある。道としては、新たに世帯を構える人、道へ移住してくる人のための住宅整備で地方を支えていきたい。安心で良質な家づくりができる住宅事業者を登録・公開する「きた住まいる」制度を策定し、ことしで3年目となる。今月には、南幌町に新しい住まい方の提案や主要都市でモデルハウス展示がオープンした。今後は、家を完成させるだけではなく、設計や施工等の建築に関する記録を残す維持管理の仕組みが必要だと考えている。地域でつくり維持していくという、持続可能な産業になるように支援していきたい。
大型施設の営繕については、道議会庁舎の施工がスタートした。観光客も多い場所ということもあるため、施工の安全性を含めた働き方が多くの人に見られる現場と認識している。環境客にも配慮した安全な施工ができる環境を整えていけるよう支えていく。
札幌医科大学に関しては、改築の最終段階に入ってきている。狭あいな環境で、病院が隣接するという特殊性から技術力が試される現場。日々研鑚した技術をもって施工していただきたい。
赤れんが庁舎はこれから耐震化調査に取りかかる。重要文化財であり、難しい工事になることが予想される。より安全に施工できるような新しい発注方式を検討していきたい。
―道営住宅の今後の整備の見通しについて
人口減少のため、公営住宅はどこの市町村も数は縮小傾向にある。道営住宅についても老朽化が進行し、建替の時期が来ているものも多い。地元の市町村のまちづくりと連動し、街中がにぎやかになるような住宅にするため連携・協議していきたい。公営住宅の新たな役割に子育て世代へのサポートが求められており、配慮が不可欠と考えている。地元住民だけではなく、新しく家を求めてくる移住者等に提供する住宅をサポートするのが道の役割だと考えている。
―空き家対策の課題と今後の取組について
道から市町村に空き家情報を発信するために北海道空き家情報バンクを設立した。地方は依然として不動産情報を得にくい状況にある。現在までに、700件の登録に対しおよそ200件の成約賃貸の実績があり、手応えを感じている。総合政策部の移住者向けサイト等と連携し、移住者が家探しの際にも空き家バンクを使えるようにしている。―民間大規模建築物をはじめとする建築物の耐震化促進について
法改正により耐震診断が義務化し、耐震改修を進めていかなければならないと認識している。改修費などの金銭的負担や、ホテルや旅館は工事期間に営業を停止しなければならないことから、事業者も苦慮しているのではないか。道としては耐震改修推進のため支援制度を充実させ、宿泊者や買い物する人の安全のためにも事業者をサポートしていきたい。―5月下旬のロシア訪問に対する感想
道内の事業者がもつ優れた技術を道外に広め、道内企業の仕事がより増えるような試みを思案しているところ。ことしは、5月にロシアで開かれた産業見本市のジャパンブースに参加した。視察したサンクトペテルブルク市やモスクワ市近辺は本道と気候が似ている。古い住宅では断熱性能が低いため、観光都市にもかかわらず屋根にはつららが下がり危険な状態だった。同じ寒冷地として、本道の良質な断熱技術が大いに活用できると思われ、冬でも安全な観光ができるまちになるのではと考えている。今後も関係者とともに視察を重ねていきたい。
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