インフラの役割 一層重要に/建設業界と連携し取組推進/新任副局長リレーインタビュー<2018>【1】札幌建管 天沼 宇雄 氏
2018/07/03付 連載・特集
一昨年、昨年と、異常気象による大規模な災害が発生し、災害への備えがあらためてクローズアップされるとともに、地域の安全・安心を担う建設産業の重要性が再認識されている。一方で、働き方改革関連法案が成立するなど、建設産業を取り巻く環境が大きく変化する中、生産性向上や担い手確保・育成など、課題が山積している。ことし4月当初の人事異動においては、札幌、旭川、留萌、網走、帯広の5建管で副局長が交代。新任の抱負や主要事業、建設業界への期待などを聞いた。きょう3日付からリレー形式で紹介する。―新任の抱負について
人口減少や高齢化といった課題への対応はもとより、食・観光といった道内の主要産業の振興や道民の安全・安心な暮らしの確保に向け、インフラの果たす役割は、ますます重要になってきていると感じる。地域の経済・産業を下支えする道路、下水道など様々なインフラの整備を、限られた予算の中で、地域特性や緊急性、波及効果などを検証しつつ、着実に推進すること、また、既存ストックの老朽化が進む中、適切な補修・修繕によって施設を健全に維持管理すること、さらに利用状況やニーズを踏まえたリニューアルや更新を進めることなどが重要だと考えている。
また、近年は自然災害が頻発化・激甚化しており、一昨年、昨年と本道では、台風や低気圧による大雨被害が発生した。危機管理体制の充実・強化に向けて、国や市町村はもとより、業界とも、引き続きよく連携しながら、取り組みたいと考えている。
―管内の印象について
この地域は、本道の開拓・開発の歴史をみても、早くから開けた地域であり、米、果樹などの農作物、さらにはワイン、日本酒などの加工品、そして、石狩川を中心とする多様な自然など、食や観光資源が豊富で、札幌市を含む32もの市町村が存在し、全道人口の約半分がこの地域に暮らしており、道央道、札樽道などの高規格幹線道路、本道の玄関口である新千歳空港、石狩湾新港など多様なインフラが、この地域の高いポテンシャルを支えている印象がある。また、旧産炭地も多く、人口減少や地場産業の担い手不足など多くの地域課題もあると感じている。こうした課題とどう向き合い乗り越えていくか、また、インフラをどのように生かしていけるのか、一次産業の振興や「炭・鉄・港」の取組、観光に対する支援など様々な政策や施策も頭に入れながら、効果的な社会資本整備や維持管理に取り組む必要があると感じている。
―本年度の主要事業について
道路では、本年度も美唄富良野線の整備を推進していく。南空知地域と上川南部地域とを短い距離で結び、観光アクセス向上、物流効率化、災害時のリダンダンシー向上を図るもので、東美唄トンネルの工事に着手しており、34年度の完成を目指している。街路では、江別市の南大通大橋の架設に着手している。市街地の分断を解消し、交通の混雑緩和や洪水時の避難ルートを確保するため、早期の完成を目指している。
河川では、札幌市内を流れる望月寒川において、市街地の浸水被害を防止するため、改修事業を進めている。昨年度着手した放水路トンネルの掘削を進め、31年度の放水路完成を目指すとともに、下流部の河道整備も併せて実施する。
ソフト対策では、危機管理型水位計の設置を予定している。また、土砂災害警戒区域等の基礎調査を進めており、引き続き土砂災害警戒区域等の指定を推進していく。
―業界への一言
日ごろから道路や河川といった施設の整備や維持管理を通して、地域の安全安心を守っていただいている建設業の皆さんには、大変感謝しており、継続的かつ安定的に経営を続けていけるよう、担い手の確保、技術の継承、生産性の向上、週休二日への対応など様々な課題はあるが、皆さんの意見によく耳を傾けながら、業界全体にとってプラスになる取組や仕組みづくりを進めたいと考えている。また、建設業は、地域づくりを担う産業でもある。その役割と誇りをしっかりと次世代の若者に伝え、若手技術者の確保、育成に取り組むこと、それが本道の発展にとっても大変重要なことであるので、官民一体となって取り組みたいと考えている。
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